しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

丁か半か?

偶然の一致でしょうか?

昨日の日経新聞と地元の愛媛新聞に、

「図書館の民間委託問題」に関する記事が掲載されていました。

 

まず、日経新聞には、一面コラム「春秋」に、

「TSUTAYA」を展開する会社が運営する、

神奈川県海老名市立中央図書館の話として、次のように書かれていました。

 

森鴎外の「雁(がん)」は鳥類図鑑のコーナーに収まり、

 芥川龍之介の「芋粥(いもがゆ)」は各種料理本に交じり、

 宮沢賢治の「注文の多い料理店」はグルメガイドの仲間に…。

 まさかそんな図書館が、と笑ってはいけない。

 最近、似たような出来事が実際にあって物議をかもしている。』

 

このように公立図書館を民間委託することについて、

愛媛新聞「現論」欄で、片山善博・慶大教授は、

図書館には、過去の知の遺産を保存するだけでなく、

地域の知の拠点として、これからの地域にとって必要な知の資産を

取り込んでいく役割が求められており、外部に委託するのではなく、

小中学校などと同じく、自治体が自前で経営すべきだとして、

厳しく批判されていました。

 

「地域の知の拠点は意地でも地域が切り盛りすべきで、

 そんな気概も力量もないのであれば、

 そもそも「地方創生」など語る資格はないように思う」

とまで述べられています。

 

う~む、「何もそこまで言わなくても…」と思うくらいの辛辣なお言葉です。

ただ、ちょっと「指定管理者制度」について、

総務省通知の復習をしてみると、例えば、次のような記述があります。

 

指定管理者制度は、公の施設について、

 民間事業者等が有するノウハウを活用することにより、

 住民サービスの質の向上を図っていくこと……。

 

指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす

 最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、

 単なる価格競争による入札とは異なるものであること……。

 

私が思うに、図書の選定やレファレンスなど

「地域の知の拠点」を維持・発展する部分は、図書館司書など行政が直営で行い、

図書貸出サービスやイベントの企画など住民サービスに直結する部分は

民間のノウハウを活用することも可能ではなかったかと思います。

 

こうした考えについて、先ほどの日経新聞「春秋」では、

コラムニストの方が、次のように上手な表現を使っていました。

『基本をしっかり押さえたうえで、

 そういう遊び(意図的な配架の変更のこと)を仕掛けられるかどうか。

 一皮二皮むけなければならぬ、TSUTAYA流だろう。』

 

「丁か半か」、「善か悪か」の二者択一ではなく、

「基本を押さえたうえでの付加価値の追加」という

折衷案もあるような気がします。