先月24日に起きた、トルコ軍機によるロシア軍機撃墜事件について、
池上彰さんの『大岡山通信 今若者たちへ』の解説が勉強になりました。
池上さんによると、「当時、ロシア軍機は、
シリア領内のトルコ系トルクメン人の反政府勢力を空爆していて、
トルコ軍機は、目の前で自分たちの同胞が殺されるのを
黙認できなかったのではないか」とのことでした。
こうした事態の背景には、両国が対立してきた歴史があることは、
世界史を高校時代に勉強してきた私にもなんとか理解できるのですが、
今回の池上さんの解説を読んで、
エカテリーナ2世やピョートル大帝を尊敬していると伝えられていること」や、
トルコのエルドアン大統領が、「最近になって急激に独裁色を強め、
オスマン帝国の復活を目指す野心を隠していないこと」を知りました。
池上さんは、両国の「過去の栄光を再び」という膨張主義を、
「新たな帝国主義時代の到来」と呼んでもいいかもしれない、
とおっしゃっています。
う~む、そのような思考が両国大統領にはあったのですね。
この「過去の栄光を再び」という膨張主義は、
南シナ海進出をもくろむ某大国にも当てはまるのかもしれません…。
それよりも心配なのは、
第一次世界大戦の契機となった一発の銃弾に見られるように、
「ものの弾み、当事者間の誤算」という、「思わぬこと」がきっかけになって、
紛争は大規模化していくことを過去の歴史が教えているという
池上さんの御指摘です。
ロシアは核保有国であり、トルコはNATO加盟国です。
「まさか、あのときのことが…」が現実とならないよう、
両国からは遠く離れていても、祈りたくなるような気持ちです。