よく分かりませんが、今日18日に日銀が決めた
年3000億円新設するという量的・質的金融緩和の補完措置は、
日経平均株価の乱高下にみられるように、市場の評価は芳しくなかったようです。
今述べた出来事に関連する話題として、
日本経済の再生に、このような「治療法」が本当に有効なのか…と思いました。
今月15日の日経新聞「経済教室」に掲載された
『日本の経済政策への提言~名目賃金、5~10%上げを』という
ピーターソン国際経済研究所所長などによる論考を読んでの感想です。
論者は、日銀が量的・質的金融緩和により
0.5%程度のインフレを達成したけれども、
景気対策としてではなく、債務負担減による財政安定化の観点からは、
日本にはもっと積極的なインフレ誘発策が必要だと指摘しています。
そして、インフレによる経済の好循環につなげるために
政府主導で来年、福利厚生を含めた名目賃金を引き上げるべきだとして、
具体的に次のような手段を提示しています。
第1に、予定されている法人税減税の国会審議を、
企業が賃上げを実施するまで中止する。
第2に、公的部門の名目賃金を引き上げ、
優秀な人材の争奪戦を通じ民間の賃金に上振れ圧力をかける。
第3に、最低賃金のほか、
公共事業や規制部門など政府が管理する賃金を5%以上引き上げる。
第4に、政府が発注する業務の賃金を物価スライド制とし、
広範囲にこれを適用する法案を国会に提出する。
う~む、現在2%のインフレ目標でさえ、現状では達成困難だと思われるのに、
さらにそれを高く設定するという、
真逆の発想があるとは思いも寄りませんでした。
論者は、ハイパーインフレではなく、まずは一桁台後半のインフレを誘発し、
その後はやや低めに抑えると述べられています。
なるほど日銀は、デフレスパイラルよりもインフレスパイラルの方が、
その「診断・治療」が得意なのかもしれません。
それよりも、論考のなかで印象に残ったのは、
賃上げに関して、「現政権も過去の政権も公務員の給与を引き下げ、
これが民間部門に波及して事態を悪化させた。」という指摘です。
公務員は、国家公務員が約64万人、地方公務員が約275万人。
家族も含めると、「相当な数」が「消費者」となります。
「我田引水」、「身びいき」のようで恐縮なのですが、
公的部門の名目賃金引上げが、日本経済再生に最も近道のような気がします。
でも、まさか軽減税率の実施に伴って必要となる財源を、
公務員の給与カットに求める、なんてことを政府・与党は考えてないでしょね…?