しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

地方創生と役所組織

今日14日の日経新聞「経営者ブログ」に、
丹羽宇一郎伊藤忠商事前会長の
『地方と中小企業再生なくして日本経済再生なし』というブログが掲載されていました。
 
丹羽前会長は、地方創生には稼ぎ続ける企業を育てることが不可欠だとして、
次のように持論を展開されています。
少々長くなりますが、引用させていただきます。

『地方創生は随分前から重要性が叫ばれ、多くの予算が投入されたり、
 特区創設によって実験的な試みがなされたりしていますが、なかなか実を結びません。
 地方に多い中堅・中小企業を活性化し、
 雇用を生み出さないと地方経済は持続的に成長せず、再生には至りません。
 いくら予算を投じても、公共事業に使われれば効果は一時的。
 息の長い波及効果はあまり期待できません。
 イノベーションを生み出し、新しい事業、雇用創出につなげる必要があります。
 地方創生には稼ぎ続ける企業を育てることが不可欠です。

 そのためにはそれぞれ地域ごとに、
 自治体、企業、大学、金融機関が集まって情報を共有します。
 大学の技術を企業に移転する、企業の技術を大学が目利きをする。
 事業の種に地域の金融機関が融資し、新規事業を生み出す。
 こんな循環をつくれないか。もちろん政府の支援が不可欠です。
 しかも、総務省金融庁中小企業庁など
 省庁横断で取り組まないと実効性があがりません。』

う〜ん、確かにおっしゃるとおりなのですが、
それよりも気になったのが、次のような御指摘です。

『繰り返しになりますが、地方が再生しないのは「仕事がない」からです。
 イノベーションを起こし、地方企業を活性化し、雇用を生み出す。
 地方が、民間が動かないと地方創生に向けてブレイクスルーは生まれません。
 私は2007年から地方分権改革推進委員会の委員長を務めてよくわかったのですが、
 各役所主導の縦の動きでは地方活性化はなかなか実現しがたい。
 役所を批判しているわけではなく、役所はもともとそういう組織ではないのです。』

国や県など役所の組織が大きくなると、どうしても「縦の動き」が主流となります。
かといって組織横断で取り組むと、権限と責任の所在が曖昧になるおそれがあります。
一口に「地方創生」と言っても、その実現には困難が伴いそうです。