『クラスメートやメル友だけが友達ではない。
「言葉を友人に持とう」と言ったのは寺山修司だった。』
「私の折々のことばコンテスト」の優秀作品を紹介していました。
朝日新聞が中学・高校生に、大切にしている言葉とそのエピソードを募ったら、
1万6千超の応募があったそうです。
どんな作品があるのか興味があって、さっそく同コンテストのHPを閲覧したところ、
愛媛県の女子中学生の、次のような作品に目が釘付けになりました。
『幸せになりなさい。先生からの最後の宿題です。』
小学校卒業式の日の最後の学級会。
先生はこの言葉に続いて、『提出期限は生きている間』と付け加えたそうです。
この言葉を聞いた彼女は、
『それ以来、宿題ということばを聞くたびにこのことを思い出す。
幸せになるには何をすべきか、色々考えているが自問自答が続いている。
宿題が終わったと自信が持って言える日がくるように
提出期限を守れるように自分と周りを信じて歩いていきたい。』、
このような思いを作品に綴っていました。
私はこの言葉に一番感動しました。
彼女は立派な先生に出会えてよかったですね……。
そして、先ほどの「天声人語」は、味のある次の文章で終わっています。
『即効薬のように力をくれる言葉がある。
浸(し)みた雨が泉となって湧くように、時間をかけて心に届く言葉もある。
どこか人との出会いに似ている。言葉を友人に持ちたい。』
また、朝日新聞「折々のことば」の筆者で、
今回のコンテストの審査委員長でもある哲学者の鷲田清一さんは、
募集に際して次のように述べられていました。
『なぜこの言葉にひかれるのだろうというところから、
自己発見があると思うのです。
この言葉と出会ったことで、あみだくじのように、
こっちの道を歩いていたのにパッと別の道にいった、
そんな根の深い変化を紹介してもらえるとうれしいです。』
『ことばとの出会いで自己を発見する』
この出会いを求めて、私は毎日、本のページを開くのですが、
本だけでなく、人との出会いからも自己を発見したいものです。
それにしても、冒頭の寺山修司さんは「名言」を残されていますね。
やはり、言葉には人に勇気と希望を与える力があります。