今日15日の愛媛新聞の一面コラム「地軸」の冒頭に、
『経済学者とは、昨日予言したことが、
なぜ今日起こらなかったかを、明日になって悟る専門家』という
ローレンス・J・ピーターという人の、
痛烈な皮肉を込めた名言が掲載されていました。
コラムにはこの名言に続いて、次のような文章がありました。
『経済に比べれば、政治は予測が可能という過信があったのだろう。
米国の主要メディアが大統領選の結果を外し、「総ざんげ」状態。
長年蓄積してきた世論調査の手法が通用しなかったショツクは大きい。』
このコラムのように、名言を一言、文中に添えるだけで、
文章全体に「迫力」というか、「説得力」が生まれるような気がします。
コラムのなかの名言と言えば、今月13日の日経新聞「風見鶏」は、
「歴史から何をどう学ぶか」というタイトルの
「東京都豊洲市場の盛り土問題」についての記事でした。
この記事のなかでも、「失敗の経験から学ぶ姿勢の欠如」という教訓を
記事において読者に説明するために、ドイツの鉄血宰相ビスマルクの
『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』という名言や、
英国の歴史家E・H・カーの『歴史とは現在と過去との尽きることを知らぬ対話』
といった名言が引用されていました。
そして、今日の朝日新聞の一面コラム「折々のことば」は、
「いせひでこ」さんの『名をのこさなくていい。「ぼうず、いい手をもて」』
と言う言葉で、鷲田清一さんの次のような解説がありました。
『大好きな植物図鑑がついにばらばらになり途方に暮れる少女が、
やっと一人の製本職人を探しあてる。
そして丹念な作業の一つ一つを目を丸くして見つめる。
本の修復にとりかかった老職人は、昔、父親が言っていたのを思い出す。
手間をかけて直せば、本は新しいいのちを生きる。
本を通して人にとって大事な知識や物語が伝わる、と。
画家の絵本「ルリユールおじさん」から。』
この老職人の父親のように、人は誰でも名言の語り手になれるのですね…。