早いもので、今日で2月も終わりです。
2月の最後の日は、やわらかい日差しが一日中降り注ぎました。
さて、今月23日のNHK解説委員室「時論公論」は、
『トランプ政権を支える“もうひとつのアメリカ”』というタイトルでした。
アメリカという国のイメージはというと、
私が小学3年生の時に開催された東京オリンピックでの、
強烈に記憶にインプットされていて、
日本はこんなとんでもない国と戦ったのか、と子ども心に思いました。
還暦を過ぎた今でも、解説に書かれているように、
アメリカといえば、『自由の女神や立ち並ぶ摩天楼、世界の金融の中心ウォール街、
マイクロソフトやグーグルなど最先端のIT産業、
ハリウッドのレッドカーペットを歩く華やかなスター達。』といった
強くて偉大な国をイメージしてしまいます。
ところが、次のような解説を読んで、アメリカの意外な一面を知りました。
・夢とチャンスを求めて世界中から移民がやってくるアメリカは、
外に開かれたオープンな国であると同時に、非常に内向きの面も併せ持っている。
海外はおろかニューヨークさえ知らないアメリカ人が相当数いる。
・パスポートをもっているアメリカ人は全体のおよそ45%、半数以下。
イギリスの80%、カナダの60%以上などと比べるとかなり低い数字。
市場調査会社が去年、行った調査では、
10人にひとりは「自分が住んでいる州から一度も出たことがない」
と答えており、アメリカ人の6割以上は「自由の女神を訪れたことがない」
という調査もある。
続いて解説では、「あまり外の世界を知らず、
移民が増えて白人中心の社会が変わっていくことに漠然とした不安感を抱き、
既存のニュースメディアの報道を信用しない人達が、
トランプ政権を支えている」と指摘していました。
う~む、なるほど……。
解説のタイトルの“もうひとつのアメリカ”とは、
そういう意味があったのですね……。
さらに、解説の最後の部分で出口解説委員は、次のように述べられていました。
『多民族国家アメリカは、これまで何度も分断と融和を繰り返してきました。
トランプ現象は、そんな変貌を続けているアメリカ社会の
通過点のひとつなのかも知れません。
分断された社会を再び統合して“ひとつのアメリカ”となっていくのか、
それとも自己の利益、エゴを剥き出しにする国になってしまうのか、
自由と正義の国アメリカは今、大きな岐路に立たされているように思います。』
その昔、津上俊哉さんが書いた
『岐路に立つ中国~超大国を待つ7つの壁』(日本経済新聞出版社)
という本を読んだことがあります。
中国が直面する「7つの壁」とは、
①人民元問題の出口は見つかるか
②都市と農村「二元社会」を解消できるか
③「国退民進」から「国進民退」への逆行を止められるか
④政治体制改革は進められるか
⑤歴史トラウマと漢奸タブーを克服できるか
⑥「未富先老」問題を解決できるか
⑦世界に受け入れられる理念を語れるか
このうち、②の「二元社会」と⑦の「理念」は、今のアメリカにも該当しそうです。
中国とアメリカという超大国…。依るべき価値観は異なっていても、
国内に内在する壁は、似たり寄ったりなのかもしれません。