しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

人の心のひだを見つめる

日経新聞によると、2017年のノーベル経済学賞は、

「心理学を経済学に反映させた」、「人の心を組み込んだ経済学をつくった」という授賞理由で、

シカゴ大学のリチャード・セイラー教授に決まったそうです。

そのセイラー教授の功績などを、日経新聞電子版の記事や朝日新聞天声人語」から抜粋して、

この日記に書き残しておくことにしました。


・人間はだらしなかったり、短絡的だったりするけれども、

 「ナッジ(nudge=小さな誘導)」を与えれば社会を良く変えられる。

 そんな彼の理論は、米国や英国、日本でも政策や企業のマーケティングに応用され始めている。

・セイラー氏の成果としては「心の会計」(メンタル・アカウンティング)と呼ばれる理論がある。

 例えば、人は苦労してためたお金は慎重に使おうとするが、

 あぶく銭は簡単に使ってしまう。そのようにお金の色分けをして行動することを示した。

・「セルフコントロール(自己抑制)の欠如」にも注目。

 人間は「現在」と「未来」の時間差によって意思決定が変わる。

 例えば、すぐに1万円をもらえるのと、2年後に2万円をもらうのとでは、

 たとえ2年後の方が得だったとしても、人はすぐ1万円をもらうことを選びやすい。

 「今」という要素が大きく行動を左右することを示した。

・従来の経済学が想定した常に冷静で合理的な人間を「エコン」と呼び、

 「人間はもっと不合理。エコンではなくヒューマンだ」と唱えた。

・フェアマン(公平な人間)とゲームズマン(かけひき屋)。

 行動経済学者は「人の中には両面が同居する」と考えた。


そして、日経新聞電子版の記事には、次のようなことも書かれていました。

『「経済主体は人間。経済モデルはそれを取り入れなければならない」。

 9日の受賞決定後の電話会見でセイラー氏は自分の研究において最も大切なことを聞かれて、こう答えた。

 著作の中では研究の3原則を「観察する」「データを集める」「主張する」と挙げている。

 観察やデータなき主張。主張なきデータ。こんな事例が社会に増えていないだろうか。

 人の心のひだを見つめ続けたセイラー氏の研究姿勢は、

 経済学者にとどまらず、政治家や官僚、そして企業のリーダーのあり方にも警鐘をならしている。』


う~む、なるほど‥‥。

経済学者に限ったことでなく、世に言うリーダーも「人の心のひだを見つめる」姿勢が大切なのですね。

経済学という学問が、「人間くさい」一面を併せ持つことがよく分かりました。

それにしても、ノーベル経済学の受賞者は、どうしてアメリカ合衆国の出身者が多いのでしょう?

素朴な疑問です‥‥。

日本には、バブル崩壊やデフレ経済、そして異次元緩和など、

金融・経済の研究テーマには事欠かないと、個人的には思うのだけど‥‥。