「心理学を経済学に反映させた」、「人の心を組み込んだ経済学をつくった」という授賞理由で、
米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授に決まったそうです。
そのセイラー教授の功績などを、日経新聞電子版の記事や朝日新聞「天声人語」から抜粋して、
この日記に書き残しておくことにしました。
・人間はだらしなかったり、短絡的だったりするけれども、
「ナッジ(nudge=小さな誘導)」を与えれば社会を良く変えられる。
そんな彼の理論は、米国や英国、日本でも政策や企業のマーケティングに応用され始めている。
・セイラー氏の成果としては「心の会計」(メンタル・アカウンティング)と呼ばれる理論がある。
例えば、人は苦労してためたお金は慎重に使おうとするが、
あぶく銭は簡単に使ってしまう。そのようにお金の色分けをして行動することを示した。
・「セルフコントロール(自己抑制)の欠如」にも注目。
人間は「現在」と「未来」の時間差によって意思決定が変わる。
例えば、すぐに1万円をもらえるのと、2年後に2万円をもらうのとでは、
たとえ2年後の方が得だったとしても、人はすぐ1万円をもらうことを選びやすい。
「今」という要素が大きく行動を左右することを示した。
・従来の経済学が想定した常に冷静で合理的な人間を「エコン」と呼び、
「人間はもっと不合理。エコンではなくヒューマンだ」と唱えた。
・フェアマン(公平な人間)とゲームズマン(かけひき屋)。
行動経済学者は「人の中には両面が同居する」と考えた。
そして、日経新聞電子版の記事には、次のようなことも書かれていました。
『「経済主体は人間。経済モデルはそれを取り入れなければならない」。
9日の受賞決定後の電話会見でセイラー氏は自分の研究において最も大切なことを聞かれて、こう答えた。
著作の中では研究の3原則を「観察する」「データを集める」「主張する」と挙げている。
観察やデータなき主張。主張なきデータ。こんな事例が社会に増えていないだろうか。
人の心のひだを見つめ続けたセイラー氏の研究姿勢は、
経済学者にとどまらず、政治家や官僚、そして企業のリーダーのあり方にも警鐘をならしている。』
う~む、なるほど‥‥。
経済学者に限ったことでなく、世に言うリーダーも「人の心のひだを見つめる」姿勢が大切なのですね。
経済学という学問が、「人間くさい」一面を併せ持つことがよく分かりました。
それにしても、ノーベル経済学の受賞者は、どうしてアメリカ合衆国の出身者が多いのでしょう?
素朴な疑問です‥‥。
日本には、バブル崩壊やデフレ経済、そして異次元緩和など、
金融・経済の研究テーマには事欠かないと、個人的には思うのだけど‥‥。