日経新聞では今月から、野中郁次郎・一橋大学名誉教授の「私の履歴書」の連載が始まりました。
その第4回目の今日は、「苦手な簿記 得意の英語で早大合格 商業高校に進学、数学は肌に合わず」
というタイトルで、次のようなことが書かれていました。
『ここで数学と論理的な思考について一言付け加えたい。
数理経済学が典型なのだが、あらかじめ与えられた数式を展開していく「形式論理」だけでは
真理には到達できないのではないか、とかねて主張している。
形式論理を展開する前に、直観から本質をえぐり出す「意味づけ」「価値づけ」のプロセスがあり、
そうして、えぐり出した本質を「形式化」するのがサイエンスだと考えているからだ。
私は理数系の科目が苦手だったが、物事の本質を直観的にとらえるのはわりと得意で、
概念や理論を生み出す原動力になっている。科学の方法論をみても、はじめは「観察」である。
分析から始めるのではなく、経験こそが科学の原点なのだ。』
う~む、なるほど‥‥。「経験こそ科学の原点」ですか‥‥。
野中先生といえば、名著『失敗の本質』(中公文庫)の執筆者のお一人として有名ですが、
その著名な経営学者の先生が、数学が苦手だったと知って、意外な思いを持ちました。
同じく数学が苦手だった私には、これまでの人生を肯定してもらったような気分です。(大袈裟かな‥?)
これから月末までの連載で、どんなことを書かれるのか、毎日楽しみに読み進めたいと思います。