しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

令和に問い掛けるもの

たまたまなのでしょうが、今日の日経新聞一面コラム「春秋」と、

愛媛新聞一面コラム「地軸」には、映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」のことが書かれていました。


『昨日、この正月映画を見て昭和の精神に思いをはせた。

 「男はつらいよ」シリーズ50作目の「お帰り 寅さん」だ。

 渥美清さんは昭和3年生まれ。敗戦で神が人間になり、大人たちは新たな権力にひれ伏した。

 軍国少年は、その変節ぶりを胸に刻む。

 「何をあてにして生きていったらいいのか」とは渥美さんの述懐である。

 映画の寅さんも戦中派だ。新作で、おいに人は何のために生きるの、と問われるシーンがある。

 「生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろ。そのために生きてんじゃねえか」。

 節度を保って暮らしてきた皆さまに、そんな至福の時が訪れますように。

 金力で罪から逃走しても、「お天道様は見ているぜ」。』(日経新聞「春秋」)


『おっちょこちょいでけんかっ早く、ほれっぽいが恋に不器用。寅さんは愛すべきも厄介な存在である。

 だが新作で寅さんとの思い出を振り返る登場人物たちの表情の穏やかで楽しそうなこと。

 監督の山田洋次さんにとっては、

 それがこの時代にあえて寅さんをよみがえらせた意図の一つだったに違いない。

 雑誌「東京人」1月号での対談で、寛容さを失ったいまの社会を危惧し、こう語っている。

 「いろんな人間がいて、ある程度のはみ出しは許してやるのも大事なことじゃないのか」

 われわれは弱く、小さな人間同士である。

 少々迷惑を掛け合っても、誰かに甘えることがあってもいい。

 「僕の伯父さんがここにいたら、そう言うよ」。

 劇中の満男の言葉は、寅さんから教えられたものは何かを、この令和に問い掛けている。』

 (愛媛新聞「地軸」)


う~む、なるほど‥‥。どちらのコラムニストも、お忙しい中、この映画を観られたのですね‥。

それぞれ書く内容は違っていても、読者に伝えようとするメッセージは、同じのような気がしました。

私個人としては、「春秋」で紹介されていた「人は何のために生きるのか」という問い掛けに対する、

寅さんの「生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろ。そのために生きてんじゃねえか」

というセリフに特別な思いを抱きました。このセリフは、寅さんの名言中の名言ではないでしょうか?

人は何とか生きてさえいれば、奇跡しか言いようのない「至福の時」に遭遇することができる‥‥、

それはこの歳にもなると、大変よく理解できます。


そういえば、気が付くと、年末年始のお休みも、あと2日となってしまいました。

この最後の2日間に、私もこの映画を是非観てみようと思っています。