愛媛新聞の「テレビ・芸能」欄で連載が続いていた、娯楽映画研究家・佐藤利明さんの執筆による、
「ニッポン娯楽映画縦断~第4部寅さんと日本人の半世紀」は、5回目の今日が最終回でした。
思い返せば、映画「男はつらいよ~お帰り寅さん」を映画館に観に行ったのは、今年の1月4日でした。
その時の感動を、私は文章で上手く表現することはできなかったのですが、
佐藤さんの書かれた次のような文章は、映画を鑑賞した全ての人の気持ちを代弁する、
実に見事な内容だと思ったので、この日記にも書き残しておきます。
『‥‥山田監督が久しぶりに「男はつらいよ」を撮るとの報に、
渥美不在でどんな作品になるのか、いささか不安だった。
完成作を見て、令和の現在の柴又で、さくらも夫・博(前田吟)も、源ちゃん(佐藤蛾次郎)も
健在であることがうれしかった。
あれから四半世紀近く「寅さん一家」にも、ぼくたちと同じ時間が流れていたことを、改めて実感した。
作家となった満男と国連難民高等弁務官事務所に勤務する泉は、
結婚することなく、それぞれ別の人生を歩んでいた。
その2人が再開して行くのが、リリー(浅丘ルリ子)の店で、3人は寅さんの思い出を語らう。
満男やさくらが回想するかたちで寅さんのはつらつとした元気な姿がスクリーンに登場。
ぼくたちにとっても懐かしい寅さんの姿は、
満男たちの回想と、観客の思い出がシンクロして、実に豊かな映画体験となった。
終盤、歴代マドンナが次々と登場する名場面は感動的である。
第1作から半世紀という時の流れが、この奇跡をもたらした。
昭和、平成、令和とつながる、全50作に及ぶ「みんなの寅さん」の物語を見事に締めくくってくれた。』
「生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろ。そのために生きてんじゃねえか」。
寅さんの、この名言中の名言を「心の糧」として、残りの人生を真摯に歩んでいきたいものです‥‥。