元旦から日経新聞で連載が続いていた
鈴木茂晴・日本証券業協会会長の「私の履歴書」は、今日が最終回でした。
連載の最後に鈴木会長は、次のようなことを書かれていました。
『最後になるが、私と近い世代の方は、戦後の貧しい時代から高度経済成長を経て、
バブルの時代とその崩壊、その後の長いデフレを目の当たりにしてきた。
この間、私自身、行き過ぎたこと、やり過ぎたことも多々あったと思うが、
この時代の日本人はみな、家族や会社、社会、ひいてはこの国のために、懸命に働き、そして生きてきた。
そのことを今回の連載で少しでもお伝えできたなら嬉しく思う。』
鈴木会長は昭和22年のお生まれで、団塊の世代‥‥。
鈴木会長が言われているように、この世代の「懸命さ」によって、
今の日本の「平和と繁栄」があることは間違いないと、次に続く私たち世代は思っています。
ところで、今回の鈴木会長の連載を通して一番印象に残ったのは、
今月16日に掲載された、「上司と部下」についての次のような記述でした。
『本社の中枢から役員や幹部級の人事をみていて思ったのは、好き嫌いで人事をしてはダメだということだ。
人間だから嫌いな部下もいる。でもその人に能力があるなら、仕事を任せるべきだ。
そうしないと企業としてトータルで損失になる。
嫌いな人とは食事やゴルフを一緒にしなければいいだけだ。
後に部長になったとき、好き嫌いの人事だけは決してすまいと思った。
部下の説教でも、ちょっとした配慮があれば全然違う。
私が知る支店長の中に、人の心を傷つけるボキャブラリーが天才的に豊富な人がいた。
この人に怒られると、自分の存在価値がゼロのような気分になり、働く気がうせた。
一方で、ミスをしたとき「君のような優秀なやつが、どうして‥‥」などと言われると、
素直に反省し、挽回するぞと思ったものだ。
部下からみて、仕えたい上司とはどんな人か。私が思う優れた上司とは、ずばり決断できる人だ。
どんなに厳しい人でも決断してくれる上司はいい上司だ。
一方でやさしく人柄もいいのだが、決めてくれない上司には仕えたくない。
後に企業の資金調達を担当する部門の部長になったとき、自分の仕事は決めることだと思った。』
はぃ‥、「決めてくれない上司」に仕えた時の苦労と悲哀は、この私にもよ~く分かります。
いわゆる「評論家みたいな上司」ですよね‥‥。
「あーでもない、こーでもない」と言うけれど、なかなか「決めてくれない上司」に、私も仕えてきました。
官公庁、民間企業に限らず、これからも組織の中で生きていく皆さんは、
「評論家のような上司」ではなく、「決断できる上司」になってくださいね‥‥。