しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

アガペーの瞬間を記憶する

『人生の役に立つ聖書の名言』(佐藤優著:講談社文庫)を読了しました。

本書を読んで、聖書の言葉の真意を何も知らずに、勝手に解釈をしていたことを知りました。


例えば、「こころの貧しい人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。」という言葉の

「こころの貧しい人」は、

『「こころの貧しい人」とは、経済的困窮者ではない。

 自分の心の中に救済の根拠がないことを自覚している人を指す。』


また、「悲しんでいる人たちは、さいわいである。彼らは慰められるであろう。」という言葉の

「悲しんでいる人」は、

『「悲しんでいる人」とは、何か不幸なことがあって泣きそうになっている人のことではない。

 現在が苦難と悲劇の時であるということをリアルに受け止めて、

 神による助けを心の底から望んでいる人のことだ。』


それぞれの言葉に、著者の上記のような解説があり、聖書の言葉の奥深さを知った次第です。

なお、本書で紹介されている聖書の言葉で、私の心に最も響いたのは、

「愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。

 愛は高ぶらない、誇らない、不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、

 恨みをいだかない。不義を喜ばないで真理を喜ぶ。

 そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。」という言葉で、

著者の次のような解説がありました。


『‥‥イエス・キリストが説いた愛はギリシャ語のアガペーだ。

 一切の見返りを求めない一方的な愛である。このような愛の特徴がここに列挙されている。

 果たして、人間はこのうよなアガペーを持てるのであろうか。私は持てると考えている。

 親子の愛情、恋人同士の愛情、友情の中でも、一瞬だけかもしれないが、

 相手からの見返りを一切求めないアガペーとしての愛を誰もが示すことができる。

 重要なのは、その瞬間のことをきちんと記憶しておくことだ。

 親子、夫婦、友人関係がぎくしゃくしたときに、かつてアガペーの瞬間があったことを思い出せば、

 決定的な決裂を避けることができる。』


著者は、この本の「まえがき」で、

キリスト教徒でない日本人にとっても、誰もが避けられない挫折や逆境、

 仕事や人間関係の悩み、人生の岐路に立つとき、聖書の言葉にふれることを勧めたい』

と述べられていました。

その言葉どおりに、「ふれてよかった」と思える一冊でした。

人生の役に立つ聖書の名言 (講談社文庫)

人生の役に立つ聖書の名言 (講談社文庫)

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2020/01/15
  • メディア: 文庫