しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「黄金の釘」を打つ

社会全体に閉塞感が漂い、自分自身の心もナーバスになるなかで、

ここ数日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、いつもより増して心に響くものがあります。


今日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、芸術家・岡本太郎さんの

「無名の運命のなかで、自分の筋を貫き通して、歴史にものこらないで

死んでいった者の生き方に、ぼくは加担したいんだよ。」という言葉で、

いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『「尊敬する人」といえばなぜみなすぐに権勢を誇った人を挙げるのだろうと、芸術家は言う。

 成功者といっても、彼を取り巻く「いろいろな状況が押しあげた」だけ。

 歴史には、成功しないと知りつつ「命を賭けて筋を通した」無名の人々が埋もれているはずで、

 そこをしっかり見ようと。「太郎に訊(き)け! 岡本太郎流爆発人生相談」』から。』


先日お亡くなりになった加戸守行・前愛媛県知事は、

よく挨拶のなかで、明治の詩人・与謝野晶子

「劫初(ごうしょ)より つくりいとなむ殿堂に われも黄金の釘一つ打つ」

という歌を引用されていたことを、その真面目なお人柄とともに懐かしく思い出します。

今の私たちの平和と繁栄は、歴史に名を残さない無名の人々の、

「一本の黄金の釘」の総体で成り立っていることを、決して忘れてはならないと、

今日のコラムを読んで感じた次第です。