『感染症の世界史』(石弘之著:角川ソフィア文庫)を読了しました。
2014年11月20日に書かれた本書の「あとがき」には、次のようなことが書かれていました。
『人は病気の流行を招きよせるような環境をつくってきたが、今後ますます流行の危険は高まるだろう。
というのも、日本をはじめ世界各国が、
歴史上例のない人口の集中化と高齢化の道を突っ走っているからだ。両者は感染症流行の温床である。
これから感染症流行のさらなる「二次災害化」も進むと予感している。
阪神・淡路大震災でも、「震災関連死」の患者が高齢者に集中した。とくに、肺炎による死者が目立った。
避難所の環境や過密がその主な原因だ。日本の将来への不安が高まっている。
末期的症状になりつつある少子高齢化のみならず、
近い将来に襲来するはずの超弩級の大地震、荒々しさを増す異常気象‥‥。
凶悪な感染症の大流行もそのひとつにあげておく必要がある。』
また、本書の本文中には、次のような記述がありました。
『今後の人類と感染症の戦いを予想するうえで、もっとも激戦が予想されるのがお隣の中国と、
人類発祥地で多くの感染症の生まれ故郷であるアフリカであろう。
いずれも、公衆衛生上の深刻な問題を抱えている。
とくに、中国はこれまでも、何度となく世界を巻き込んだパンデミックの震源地になってきた。
過去三回発生したペストの世界的流行も、繰り返し世界を巻き込んできた新型のインフルエンザも、
近年急速に進歩をとげた遺伝子の分析から中国が起源とみられる。
13億4000万人を超える人口が、経済力の向上にともなって盛んに動き回るようになってきた。
春節(旧暦の正月)前後にはのべ約3億人が国内を旅行し、年間のべ1億人が海外に出かける。
最近の12年間で10倍にもふくれあがった大移動が、国内外に感染を広げる下地になっている。』
「あとがき」が書かれてから5年後の2019年‥‥。
「中国を震源地とする凶悪な感染症の大流行」という著者の予想は、不幸にも的中することになりました。
なお、本書には、次のような記述もあります。
『私たちの祖先は、たえず人類に襲いかかる飢餓、自然災害、感染症を運よく生きのびて、
現在の子孫を残すことに成功した。
だが、この幸運が今後もつづいて無事に子孫を残しつづけることができるかは、保証のかぎりではない。』
う~む‥‥。ひょっとして、次は人類絶滅の危機‥‥?
これだけは現実にならないことを、切に祈るばかりです‥‥。