天気予報のとおりに、今日は午後から、冷たい雨となりました。
さて、NHKテキスト100分de名著「ディスタンクシオン~ブルデュー」を読了しました。
テキストの執筆者は、社会学者で立命館大学大学院教授の岸政彦さんです。
「ディスタンクシオン」(区別、差異、)、「バビトゥス」(傾向性、性向)、
「界」(象徴闘争が繰り広げられる場)、「文化資本」‥‥。
テキストを読むだけでは難解だったけれど、
テレビを並行して視聴することで理解が深まりました。
以下、テキストで印象に残った記述を、この日記に書き残しておきます。
・ハビトゥスとは生まれつきのものではなく、社会的に獲得されるものです。
ハビトゥスを理解する、といえばなんだか大げさな話になりますが、
さきほど私は、ハビトゥスとは「それまでの人生の履歴、蓄積」
「行為のなかに蓄積された過去の履歴」、
そして「学習と訓練によって長い時間をかけて蓄積された身体の記憶」であると述べました。
つまり、ハビトゥスを理解するとは、マクロな社会構造や歴史的変動のなかで、
その人がどのような人生の軌道を歩んできて、
どのような(広い意味での)合理性を持つにいたったか、ということを理解するということです。
・私たちは深いレベルまでハビトゥスによって、社会構造によって規定されているのです。
しかし私は、その事実を知ることのほうにむしろ、ある種の「解放」を感じます。
自由とは、何でも好き勝手にできるとか、どんな自分にでもなれるということではありません。
持って生まれたものに方向づけられ、生きる社会の構造に縛られ、
それでもその中でなんとか必死に生きている、自由とはそういうものだと考えているからです。
・自分の自由を制限している構造的な条件づけの、その条件自体を知るということは、
人間が成し得るもっとも知的で自由な行為であると私は思います。
自分がどのくらい自由で何ができるのかよりも、
自分の行為がどのくらい制限されているのか、どうやって制限されているのかを知るほうが、
私たちを社会構造から解き放ってくれるのではないでしょうか。
「重力の法則は飛ぶことを可能にする」とブルデューは言っています。
幻想を持たずに希望を持つ。
このテキストを読まなければ、
きっと、ブルデュー社会学のことを知らないままだったと思います。
さだまさしさんの歌詞ではありませんが、本との出合いも「偶然の風の中」です。
NHK 100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年 12月 [雑誌] (NHKテキスト)
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