しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

結果オーライです

町立図書館で借りて来た『ノーサイド・ゲーム』(池井戸潤著:ダイアモンド社)を読了しました。


アマゾン「Prime Video」で観たTVドラマ『陸王』(池井戸潤原作)がとても面白かったので、

原作を読んでみようと思い、町立図書館に出向いたところ、実際に選んで手に取ったのはこの本でした。

でも、結果オーライでした。実に痛快で、面白い本でした。


特に、ラグビーの試合を描写する迫力ある文章は、

現実にラグビーの試合を観戦しているかのような錯覚に陥りそうでした。

例えば、「第三部セカンド・ハーフ、第五章ラストゲーム」で書かれていた、次のような文章です。


『‥‥いまやスタンドは総立ちで、スタジアム全体が熱狂の渦に呑み込まれ、

 溶けてしまいそうな興奮の中に放り出されている。

 サイクロンズの選手たちが、岬に突進していた。

 いもにもタックルされそうになった岬のフォローに回ったのは、キックと同時に猛ダッシュした七尾だ。

 その七尾にパスが出たとき、レナの耳にはもはや何も聞こえなくなった。

 色彩が弾け飛び、頭の芯が痺れたようになって目に映る光景はスローモーションのようだ。

 ゴールライン直前でサイクロンズのフルバックが、渾身のタックルを仕掛けてきた。

 それをハンドオフで一瞬にして地面に叩きつけたとき、勝負は決まった。逆転のトライだ。

 絶叫とともに理彩が両手の拳を天に突き出している。このときーー。

 レナの心に訪れたのは満たされた静謐であった。

 スタンドを埋める大歓声、悲鳴、狂喜と落胆が激しく入り乱れる渦中で到達したのは、温かい万感の思いだ。

 錯雑とし、激しく翻弄された感情の起伏から解放されてみると、ただ涙が溢れだした。‥‥』


ラグビーというスポーツを理解し、心の底から好きでないと、書くことのできない文章だと思います。

早稲田や日本代表の、これまで観た伝説の名場面の数々が、私の脳裏にも蘇った次第です‥‥。