しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

神と資本主義

ここ数日、晴れた日が続いていましたが、午後から次第に、低く垂れこんだ雲が広がるようになりました。

天気予報によると、明日25日から日本付近は冬型の気圧配置が強まり、上空に強い寒気が流れ込むとのこと。

寒がりの私は、今から身構えています‥‥。


さて、今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、ドストエフスキーに関しての次のようなコラムでした。

『ロシアの作家、ドストエフスキーは常にお金の問題で悩み続けた。

 自身の賭博癖。無心に群がる親戚たち。

 人生最後の文章も、小説の印税を早く払ってほしいという編集者へのお願いだったという。

 今年生誕200年、没後140年を迎えた文豪の素顔は妙に人間臭い。

 実生活を映してか、作中にもお金が具体的な金額を伴いよく顔を出す。

 「カラマーゾフの兄弟」では、現金3000ルーブルが殺人事件の鍵になる。

 他の作品でも登場人物らは信仰の意味など深遠な議論を戦わせる一方で、

 巨額の遺産からささいな借金まで身分に応じたお金に翻弄される。このリアリティーも人々を引きつけた。

 当時のロシアは急速な近代化で混乱の中にあった。

 雑誌「現代思想」で社会学者の大沢真幸さんは、この作家には神と金が生涯の問題であり、

 両者を重ねて見ていたと説く。大沢さんによれば金が新たな神となったのが資本主義であり、

 神を巡る精緻な議論は資本主義の長所と困難を考えるヒントとして今も有効だという。

 社会主義国ソ連が姿を消して30年たつ。

 民主国家が世界を覆い安定するというフランシス・フクヤマ氏の「歴史の終わり」論は外れ、

 旧東側では古い権威主義が復活し旧西側も自由や民主主義が揺らぐ。

 世情が不安定な時ほどドストエフスキーの読者は増えるそうだ。

 だとすれば文豪の地位は安泰だが、素直に喜びにくい。』


今、私は、亀山郁夫先生が訳された『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典新訳文庫)を読み進めています。

先日、ようやくその1巻目を読み終えたところです。

このペースで行くと、全巻を読み終えるには、まだまだ時間がかかりそうです。

時間はたっぷりあるはずなのに‥‥。


今日のコラムでは、「神を巡る精緻な議論は資本主義の長所と困難を考えるヒントとして今も有効」との

大澤真幸先生のお話がありました。こういう視点も忘れずに読み進めていきたいものです。

あと一つ‥‥。

コラムでは、「世情が不安定な時ほどドストエフスキーの読者は増える」と書かれていました。

ということは、ひょっとしたら私も、「世情の不安定」を知らぬ間に感じ取っているのかしら‥?