しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「いざとなったら助けてくれる」というマインドセット

今日はよく晴れて風もなく、穏やかなお天気になりました。

午前中は町立図書館に行って、試験に備えた放送大学テキストの勉強をしてきました。


さて、今日は久しぶりに日経新聞「経済教室」を真剣に読みました。

レポートが「平成日本企業の失敗、背景と教訓㊤」という、興味を惹くタイトルだったからです。


その内容は、平成の時代に日本企業が復活できなかった原因を明らかにしようとする

「平成失敗プロジェクト」の成果報告で、旧日本軍の事例分析により組織的欠陥を明らかにした

「失敗の本質」のような研究を目指して始まったとのことでした。

そこには、注目すべき次のような記述があったので、少し長くなりますが引用させていただき、

この日記に書き残しておこうと思います。


『‥‥なぜ日本の既存大企業は平成の時代に自己変革を経て成長できなかったのか。

 この間、コーポレートガバナンス企業統治)改革、SDGs(持続可能な開発目標)、

 デジタルトランスフォーメーション(DX)、働き方改革など、様々な企業変革の必要性が叫ばれてきた。

 だがこの30年を振り返ると、一部の例外を除き、

 既存大企業が変革を遂げて経済成長に大きく貢献した事実は認められない。

 変革の試みは、本質的な課題認識に基づくというよりは、

 政策的誘導や企業間の模倣がもたらす横並び行動、欧米型合理主義への過剰適合ともいえる

 表面的なものだったのではないか。

 本質的な変革を妨げてきた要因を巡っては、研究会で以下の議論があった。

 バブル経済やIT(情報技術)バブルの崩壊、リーマン・ショック東日本大震災

 大きな経済ショックに相次ぎ直面した企業経営者は、リスク回避的な行動に偏り、

 積極投資による成長よりも縮小均衡による利益捻出に走るようになった。

 経済産業研究所の小泉秀人氏と筆者の実証研究も、バブル崩壊期に赤字に転落した企業ほど、

 その後の事業投資に消極的になったことを示している。

 大きな経済ショックへの緊急対応としての一時的な緊縮や合理化が、

 経営者の習い性になってしまったと思われる。

 アベノミクスが始まる2013年以降の相対的な好業績期にも、

 利益の多くは将来に向けた投資に回らず内部に留保され、

 日本企業には300兆円規模の現預金が蓄積されている。

 付加価値の成長はなくても、低金利の恩恵や人件費を含む固定費の抑制分を利益に回し、

 企業は多くの余剰を蓄積してきた。こうした余剰を投資家が問題視すれば、

 成長投資よりも増配や自社株買いなどの株主還元が選択されがちだった。

 経営者による保守的な行動は旺盛な政策的支援を背景に、

 縮小均衡が一定の利益を生んできたからこそ続いた。

 異次元の金融緩和による低金利や円安誘導は多くの日本企業に利益をもたらした。

 大震災やコロナ禍の際の支援策は経済破綻を防いだが、いわゆるゾンビ企業の延命をもたらした。

 政策的追い風を受ける中では、あえて冒険せず、

 既存事業の効率化を進めることが経営者としては合理的な選択だったともいえる。

 国内市場で安定的に利益を出せるのならば、

 あえてグローバル市場で海外企業と激しい競争をすることもない。

 「いざとなったら助けてくれる」状況で、国内の安定した居心地の良さを求めるマインドセット

 ビジネスの世界にまん延した。‥‥』


う~む、なるほど‥‥。「いざとなったら助けてくれる」というマインドセットですか‥。

ビジネスの世界に限らず、個々人にとっても「自戒すべき教訓」だと思います。

なぜか、福沢諭吉の「国を支えて、国を頼らず」という言葉を思い出しました‥‥。