ニッセイ基礎研究所が、ニッセイ基礎研REPORT2012年4月号で
「若年層の経済的余裕感」というレポートを公表しています。
副題は、「消費離れ・厳しい雇用情勢の今どきの若者たち、暮らし向きの実感は?」です。
ニッセイ基礎研究所のHPでは要約版が掲載されていますが、
その最後に次のような記述があります。
『若年層の経済的余裕感は正規雇用か非正規雇用かを軸に二極化傾向がみられた。
中高年の常識では、経済的余裕のなさや同世代間の二極化は
不幸なことだと捉えられがちだ。
しかし、実は若年層の7割は今の消費生活に満足しており、
幸福感も他年代より高いという報告もある。
何らかの消費市場においてターゲットを定める際、
経済的に余裕のある層をそのままメインターゲットとし、
市場の牽引を期待することが多いが、現在の若年層はそう単純ではないようだ。
若年層を更に紐解くには、世代の特徴的な思考も捉えていく必要があるだろう。』
今の若者は、もちろん高度経済成長を経験したことはなく、
むしろ、バブル経済崩壊後の「失われた20年」という
日本経済の長期停滞の時代を生きてきた世代だと思われます。
私のような向老世代の人間からみると、
若者には閉塞感が漂っていても無理はないと思いますが、
レポートの本文でも指摘しているように、
『安価で良質なモノがあふれ生活も便利な我が国では、
低所得でもそれなりの生活を送ることができ、
経済的余裕感と幸福感は必ずしも比例しない』のかもしれません。
娘夫婦は、今は経済的余裕感はないと思うけれど、果たして幸せなのかな?
また、レポートの本文の最後では、次のように指摘しています。
『それなりの市場規模に満足し
諸外国との競争に目を向けずに世界市場から取り残される現象を
「パラダイス鎖国」というが、
今の若者を更に紐解くには、このパラダイス的思考が鍵かもしれない。』
なるほど、「パラダイス鎖国」ですか。上手な表現ですよね。感心しました。