文科省初等中等教育局の工藤由貴子さんが、
「老いの可能性〜向老世代の老年学」というレポートを、
明治安田生活福祉研究所の刊行物「生活福祉研究」に寄稿されています。
まだレポートの途中までしか読んでいませんが、
「向老世代」という聞き慣れない言葉に興味を持ちました。
向世代とは、
1950年から1958年に生まれた世代のことを著者は想定されていますが、
1955年生まれの私は、まさに向老世代ということになります。
著者は、向老世代の特徴として、次の4点を指摘されています。
1 標準化したライフコースを生きてきた。
・その前までの世代、その後の世代と比べて、
人生の標準化が進んだという意味で特徴的である。
2 自立の価値を強く意識している。
・この世代が生きてきた高度経済成長期以降の日本は、
近代化の過程で個の強調、自立、自己実現が強調されてきた。
この世代はそういう価値を内面化している。
3 生活スタイルが市場に対して受動的である。
4 たくさんの役割を抱えている。
・子ども世代の自立は遅延の傾向にあり、長寿の親の介護問題も浮上している。
また、これまでになく多くの世代の重なる時代にあって
世代間関係の調整にも心を砕く。
そして、次のようにこの世代の特徴をまとめています。
『以上みてきたように、
画一性と多様性、自立と依存、生活の個人化と共同化というように、
共存が困難である価値を併せ持つことが、この世代の大きな特徴であるといえる。』
鋭い指摘に脱帽してしまいます。
特に、「自立の価値の強調」についての次の記述にはドキリとしました。
『自立支援の強調は、一見、
生活者の主体性や行動力の尊重のようにみえるが、
実際には自立生活のできない人は支援の輪からはずされてしまうという状況と
背中合わせの緊張の中に個人をさらすことになる。』
今日の日記は「向老世代の特徴」までで終わりにしますが、
「向老世代の老いの課題」については、日を改めて書きたいと思います。