しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

高い現場力とは

昨日(9日)の日経新聞「経済教室」は、
橘川武郎一橋大学教授の「東電再生への課題(上)経営体制の刷新 早急に」でした。

この論評の中で、
橘川教授が主張されるポイントは、ズバリ次の記述だと思います。
『直面する東電問題で大切なことは、
 1 福島第1原子力発電所事故の被害を受けた住民にきちんと賠償する
 2 現在の東電の供給エリアで「低廉で安定的な電気供給」をする枠組みをつくり上げる
  という2点だ。
 この2点こそが最需要課題であり、現在の東電が存続するかどうか、
 東電が国有化されるかどうかは、それほど重要な問題ではない。』

そして、更に重要な点を、橘川教授は次のとおり指摘されています。
『震災時の大津波により、東電は福島第1原発・同第2原発
 合わせて910万キロワットの出力を失っただけでなく、
 広野・常陸那珂・鹿島の3火力発電所でも合計920万キロワットの出力を喪失した。
 しかし、昨夏の電力危機を乗り切るため、
 これら3カ所の火力発電所の現場では昼夜を徹した復旧工事が進められ、
 その結果、3発電所は昨年7月までに「奇跡の復活」を遂げた。
 奇跡を起こした原動力は、「停電を決して起こさない」という現場の一念であった。
 高い現場力は、福島第1原発で事故後の処理に当たり、国際的にも称賛された
 「フクシマ・フィフティー」と呼ばれる作業員にも見受けられる。
 東電問題の本質は、「高い現場力と低い経営力のミスマッチ」にあるといえる。
  〜(中略)〜
 経営刷新を実現しなければ、現場の「やる気」が失われ、高い現場力が毀損される恐れがある。
 現在の東電の供給エリアで
 「低廉で安定的な電気供給」をする枠組みをつくり上げるうえで大切なのは
 高い現場力を維持することだ。
 東電問題で真に問われることを見誤ってはならない。』

う〜ん、この記述を読むと、
東電の現場の方が、強い使命感を持って懸命に努力をされたきたことが分かります。
東電の再生問題については、様々な議論がありますが、
橘川教授が指摘されるように、
現場の方の「やる気」、すなわち「現場力」が失われないような配慮が必要だと思います。
これは、東電の再生問題に限らず、
いろいろな組織を改革するうえで、とても大切な観点ではないでしょうか?
改革の最前線にいるのは、いつも「生身の人間」なのですから‥‥。