「「超」入門 失敗の本質」(鈴木博毅著:ダイアモンド社)を読了しました。
読後の感想を一言でいえば、とても勉強になりました。
本書は、名著「失敗の本質」を現代日本の問題と重ね合わせ、
23のポイントと7つの視点から、わかりやすく解説しています。
このなかでも特に印象に残っているのは、
ポイントの18番目、「リーダーこそが組織の限界をつくる」でした。
リーダーが認識できる限界を組織の限界としたことで、悲惨な敗北が生まれた例として、
・満蒙国境で多数の戦死者を出したノモンハン事件の、関東軍と辻参謀
・亜熱帯インド国境で無謀な山越え作戦を決行した、
ビルマ方面軍と第十五軍司令官、牟田口廉也中将
などを挙げています。
そして、「失敗の本質」から推測できる、チャンスを潰す人物の特徴を三つ挙げています。
①自分が信じがたいことを補強してくれる事実だけを見る
②他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
③階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない
そしてポイントの最後の結論として、
『愚かなリーダーが「自分の限界」を組織の限界にする一方で、
卓越したリーダーは、組織が持つ可能性を無限に押し広げて勝者となる』と述べています。
地方自治体という「組織」で30年以上生きていた私が、
「リーダーとして最もふさわしくない人物」と経験則的に言えるのは、
「自己の能力に対する謙虚さが根本的に欠けている人物」だとずっと思っていました。
ですから、
『「上」の考えていることが一番正しいという硬直的な権威主義は、
直面する問題への突破・解決力を大きく損なう誤った思想である』
という指摘には、大きくうなづいてしまいました。
今も「組織」のなかで懸命に闘っている、多くの「戦友」に読んでもらいたい一冊です。
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
- 作者: 鈴木博毅
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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