「暴走する地方自治」(田村 秀 著:ちくま新書)を読了しました。
普段から疑問に思っていることに対して、的確な答えを用意してくれている「良書」でした。
地方自治が「暴走」するようになった原因を、著者は次のように指摘されています。
『結局のところ、
地域主権という言葉が使われるようになって、
地域が何でもかんでも自由にできる、
あるいは自由にできるようにすべきだ、
それを国ががんじがらめにしているからけしからんということが、
多くの「改革派」首長の共通認識になってしまったのではないだろうか。
そして、地域に関することは、国の意向などお構いなく、
地域で全部決めて好き勝手にしても構わないと考える首長や関係者が増えてしまったことが、
地方自治が「暴走」するようになった最大の原因ではないだろうか。』
そして著者は、著書の「あとがき」において、
「改革派」首長の台頭を、次のように述べて危惧されています。
『変革を求める声が強まる中で、
現状の何が問題かについて深く議論することなく、
変えることこそが大義であるという風潮が強まっている。
特に、地方自治制度を変えさえすれば地域はよくなると言わんばかりの
「改革派」首長の台頭は、この国をどのように変えていってしまうのだろうか。
〜(中略)〜
地方自治のあり方を論じるに当たっては、
流行にばかり目を向けるのではなく、
変わるべきではないもの、不易の部分についてももっと光を当てるべきであろう。
不易と流行のバランスが崩れてしまうとき、
日本の統治機構も機能不全に陥ってしまうのではないだろうか。』
地方自治に携わる人はもちろんのこと、
地方自治に関心のある人にも、是非読んでもらいたい一冊です。
- 作者: 田村秀
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/05
- メディア: 新書
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