日経新聞で、11月20日から10回にわたり連載されていた
「衆院選‘12 データでみる論点」が、12月1日に終了しました。
第1回から第10回までの見出しを整理すると、次のようになります。
① 国民所得 5年で45兆円減 → 成長戦略実行のとき
② 債務残高 GDP比236% → 国債発行枠守れるか
③ 原発比率 事故後1割に → 政策漂流 見えぬ再稼動
④ 公共事業、10年で4兆円減 → 賢い投資どう実現
⑤ FTA相手との貿易19% → 経済連携 出遅れる日本
⑥ 3人に1人が非正規社員 → 待遇改善へ見直し焦点
⑦ 社会保障 国民負担率4割 → 給付抑えず国債頼み
⑧ 教育支出 GDP比3.6% → 効率化なき増額圧力
⑨ 中小向け予算 09年度の倍 → 厚い支援 実態は「延命」
⑩ 農林水産業 産出額35%減 → 保護優先 強化置去り
簡単な数字と簡単な解説だけで、
日本の「現状と課題」が一目瞭然になっているのは、
「お見事」としか言いようがありません。
有権者が投票先を選択する際に、とても参加になるデータだと思います。
この見出しに、それぞれの記事の中で、
私が重要と思った箇所を抜き出してプラスすると、次のようになります。
① 高齢者の増加で市場拡大が見込める医療や介護など、
需要がある分野にリスクマネーが行き渡らない構造をどう変えるか。
② 「71兆円」「44兆円」という財政再建に向けた
必要最低限の2つの数字が、政権交代が実現しても守られるか。
③ 中長期の原発政策は各政党とも明確に描き切れていない。
④ 税収が増えても無駄遣いは許されない。
民間の知恵や資金を活用して効率的な賢い投資を実現すべき。
⑤ 貿易額に占める、FTA締結国・地域向けの割合をみると、
日本は19%にとどまる一方、米国は39%、EUは29%、韓国は34%と高い。
⑥ 日本ではいったん非正規になると正社員になりづらいのが現状。
正社員を含む雇用形態の総合的な見直しができるかが焦点。
⑦ 高齢者の反発を恐れ、痛みを伴う改革を先送りすれば、
将来世代にツケを回してしまう。
⑧ 教育再生のグランドデザインを議論しなければ、
またも効率化なき予算の増額圧力だけが強まるおそれがある。
⑨ 歴史的な円高もあり、中小企業の経営環境は厳しさを増している。
「延命」ではなく、事業の再構築を促す成長戦略が急務だ。
⑩ 日本の農政批判の根底には、
消費者が農業への財政支出の利点を感じられない構造がある。
こうして論点を整理してみると、「外交・安全保障」が欠けているのに気づきます。
意外と「外交・安全保障」は、
論点として整理できるような適切なデータが存在しないのかもしれません。