しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

苦悩の5年間

白川日銀総裁が今月19日に退任されます。
昨日(14日)の日経新聞には、
「白川日銀 苦悩5年」と題して、特集記事が掲載されていました。
記事の冒頭には、次のように書かれています。

『3月19日に退任する日銀総裁白川方明は、
 5年間の任期中、リーマンショック、円高、欧州債務問題と経済危機に追われ続けた。
 2度の政権交代にも翻弄され、
 中央銀行マンきっての理論派とされた実力は発揮されたとはいいがたい。
 15回もの金融緩和に踏み切ったが、
 デフレ脱却の道筋をつけられぬまま、表舞台から退く。』

この冒頭部分だけを読むと、
白川総裁は、あまり肯定的な評価がされていないような気がしますが、
同月13日付けの、みずほ総合研究所のレポート「リサーチTODY」を読むと、
また違った解釈が見えてきます。

レポートを読んで驚いたのは、
白川総裁の在任5年間の日本の財務大臣と首相は、
なんと財務大臣は10人(自民5人、民主5人)、
首相は6人(自民3人、民主3人)だったという事実です。
(組織の中で生きている人間は、これがどれほど大変なことか理解できます。
これでは、「政府との一体化」を図るのは容易ではありません。)

そしてさらに、
『この5年間は、欧米のバランス調整の真只中で、
 2008年9月にはリーマンショックで未曾有の世界金融危機が生じ、
 その後欧州債務危機が生じるという、
 まさに100年に一度とされる国際的な状況であった』という事実です。

こうした環境下で、白川総裁は、日本を代表して国際的な危機に対処され、
2009年の米国ワシントンポスト紙に
世界金融危機を救った9人」の一人とされたことは、
レポートが指摘しているように、その実績は正当に評価されるべきだと思います。

白川総裁は、「政府が財政の健全性を確保する努力が重要だ」、
社会保障制度や年金制度の持続性可能性が保たれなければならない。」と
講演などで繰り返し述べられていました。
「何が正しくて、何が間違っていたのか」、「何ができて、何ができなかったのか」
その答えは、いずれ歴史が証明してくれると思います。

今日の国会で、日銀の総裁・副総裁人事が承認されました。
有言実行で、歴史の評価に耐えうる金融政策を期待しています。