この二日間ほど暖かい日が続いたのに、今日は雨模様の寒い一日となりました。
やはり、春は簡単にはやって来てはくれません‥‥。
さて、1月31日(火)の朝日新聞には、「異次元緩和 費やした10年」というタイトルで、
白川方明・前日本銀行総裁へのインタービュー記事が掲載されていました。
そこには、次のような興味深い質疑応答がありました。
Q ウクライナ危機などで世界的インフレが起きるまで、
消費増税の影響を除いて2%の目標は達成されませんでした。
円安でも企業の競争力は戻らず、実質賃金や潜在成長率も低迷したままです。
A 日銀がお金の「量」を拡大しさえすれば物価が上がるという議論は、さすがに聞かれなくなりました。
低成長の原因が物価下落にあるという見方も、消えつつあります。
このことを学ぶのに、日本は20年を費やした。民主主義のコストかもしれませんが、
日本の課題を「デフレ」というあいまいな言葉で設定したことのコストは、本当に大きかったと思います。
A アベノミクスの3本の矢について、3本目の成長戦略や財政構造改革が進まなかったことこそが問題だ、
とよく言われますが、不正確な表現です。
金融緩和が長期化すると、それを前提に、政府や企業、家計の行動も変わります。
経済の新陳代謝の遅れや財政規律の低下も、そうした行動変化と全く無関係ではありません。
う~む‥‥。
「アベノミクス」って、私たち国民にとって、いったい何だったんだろう?
日銀総裁が交代しても、異次元の金融緩和は続くのでしょうか?
そんなことを考えながら、このインタビュー記事を読みました‥‥。
そして、思い出すことがもう一つ‥‥。
2013年2月28日の日本経済団体連合会常任幹事会における
「日本経済の競争力と成長力の強化に向けて」というタイトルの講演で、
白川前総裁は、次のようなことを述べられていました。
『‥‥ところで、競争力と成長力強化に向けた取り組みの必要性にしても、
また、それがデフレ克服と物価安定のもとでの持続的成長という課題の達成に不可欠であることも、
一般論としては認識されていると思います。
それにもかかわらず、そうした取り組みがなかなか進まないのは何故でしょうか。
この点で鍵を握るのは、改革の必要性に対する切迫した意識だと思います。
現在日本経済が直面している急速な高齢化やそれに伴う問題は決して一時的なものではありません。
その影響は慢性症状のようなかたちで着実に日本経済に及んでいます。‥‥』
このご指摘からちょうど10年経っても、
私たちは「改革の必要性に対する切迫した意識」が欠けたままなのでしょうか‥‥?