しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

真に守りたいもの

今月3日の読売新聞「本よみうり堂」で、
宇野重規東京大学教授が、「保守とは何か」を問い直す本として、
「保守とは何だろうか」(中野剛志著)など四冊の本を紹介されていました。

その中の一冊に、昨年2月16日と17日のこの日記でも書いた
雪斎先生こと櫻田淳・東洋学園大学教授の
『「常識」としての保守主義』(新潮新書)が取り上げられていて、
とてもうれしい気持ちになりました。

宇野教授は、雪斎先生の本について、他の三冊と比べて、
吉田茂をはじめとする代表的保守政治家を取り上げるなど、
 はるかにオーソドックスな「保守」本である』という評価をされています。

また、宇野教授は、この書評の中で、
社会の漸進的改革を擁護した英国の思想家エドマンド・バークの思想が、
後に保守主義と呼ばれるようになったと述べられているほか、
保守主義の思想的ポイントなどについて、
次のように分かりやすく解説されていて、大変勉強になりました。


 ・保守主義の思想的ポイントは、「社会は複雑である」という洞察にある。
  頭でっかちに社会を改造しようとすれば、よき伝統までも破壊してしまう。
  20世紀においては共産主義と対決した保守主義のキーワードは
  設計主義」批判であった。
  現代の「保守」本においても、以上の認識は共有されている。

 ・保守主義とは本来、自分たちの守るべき価値を選び、
  変化する社会の中でこれを守り抜こうとするものである。
  歴史の進歩を素朴に信じられた時代とは違い、
  ますます未来が見えにくい現代とは、
  過去からの伝統の何かを大切にするという意味で、
  誰もが保守主義にならざるをえない時代なのかもしれない。

 ・今後重要なのは、安易に政治的ラベルを貼り合うことではない。
  むしろ「自分が真に保守しようとするのは何か」を明確に見定めることこそが、
  実りある政治論議を可能にする第一歩になるはずだ。

宇野教授の書評をよんで、他の三冊も読んでみたくなりました。
社会が変化したとしても、「真に守りたいものは何か」
人やよって答えは違うとは思いますが、必ず「何か」があるはずです。
そして、私にとっての「何か」とは何か…? 
大変難しい問いかけです。

「常識」としての保守主義 (新潮新書)

「常識」としての保守主義 (新潮新書)