昨日に続いて、日中関係に関する日記です。
日経新聞電子版には、「池上彰の教養講座」が連載されていますが、
今月19日のテーマは、『中国の本音を見極める難しさ』でした。
日本と中国との関係は、沖縄県の尖閣諸島の国有化問題の後、冷え切ったままで、
1972年(昭和47年)の日中国交回復以来、最悪の状態にありますが、
池上さんは、「今後の関係を考えていく上で
理解しておかなければいけない事情がある」と指摘されています。
それはどういう事情かというと、
中国指導部が日本に強硬姿勢を取る大きな理由の一つは、
中国に言論の自由、表現の自由がないという問題と深く関わっている点で、
以下、池上さんの次のような説明が続きます。
『中国では、そもそも共産党指導部へのいわゆる支持率調査を見たことがありません。
裏返すと共産党自身、どれだけ国民に支持されているかがわからないのです。
新聞社や放送局が定期的に世論調査をする日本とは事情が異なります。
中国でも、政府のやり方に対して国民の不満があります。
「中国共産党が悪い」などといった言い方をすると自分の身が危険になりますが、
反日を唱えるのは自由です。
「日本はけしからん」という運動がエスカレートしていくと、
「日本に対して強硬な態度を取らない政府はおかしい」というような事態に
陥ることがあるのです。』
そうですか……。
中国には、世論調査というものがなかったのですね。
自身への批判を避けるために、「反日教育」を利用する手段は、
いつまでも通用するとはとても思えませんが、
かといって、日本に対する態度が急に軟化するとも思えません。
『中国との外交で建前が出てくると、お互いにぶつかり合いますが、
本音の部分をどう見極めるのかが大事なのです。』
池上さんは、コラムの最後にこのように述べられていました。
「建前」と「本音」は、国レベルでもあるものなのですね…。