『しんがり~山一証券 最後の12人』(清武英利著:講談社+α文庫)を読了しました。
幾度となく目頭が熱くなった本でした。
名言や名セリフも、次のとおり盛りだくさんの本でした。
・会社の評価など、人生のある時期に、ある組織の、
ある人たちによって下されたものに過ぎない。
棺を閉じるまでの評価でもなければ、まして人格評価でもないはずだ。
・会社は同調しない人間を排除する組織である。
抵抗する者を中枢から追い出し、同調する人間を出世させていく。
この「同調圧力」という社内の空気のなかで、
時には平然と嘘をつくイエスマンを再生産していく巨大なマシンである。
・熟慮の末の決断がいつも正しいとは限らない。
・艱難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、
練られた品性が希望を生み出す。
・人はいつか死んでいく。だが死別はすべての喪失を意味するわけではない。
その人を記憶する者がいる限り、他人の心の中で生きることができる。
悼む人の存在は命を超えて、亡くなった人を生かし続ける。
・人間はその場に合わせて咲く能力がある。
・サラリーマンとは、会社が在って初めて成り立つ職業である。
・破綻の時代の教訓がある。
土壇場で力を発揮した人々は、地位や名誉に関わりなく、
失うものがないか、失うことを恐れない人間である。
最悪の状態に置かれた会社を
最後まで見捨てなかった人がいたことに、まずは驚きました。
エビローグの「君はまだ戦っているのか」というタイトルは、
まるで自分に問いかけられているようで、思わず背筋がピンと伸びました。
「一生懸命生きていれば、必ず誰かが見ていてくれる」という言葉には、
勇気と希望をもらいました。
そして、次のような文章を読むと、
この本は「危機管理のバイブル」でもあることが分かりました。
是非一読をお薦めしたい一冊です……。
・危険に直面していながら、「自分だけは大丈夫だろう」と思い込んで、
その脅威をあえて無視する心理を「正常性バイアス」と呼ぶ。
・会社を怪物にしてしまうのは、トップであると同時に、
そのトップに抵抗しない役員たちなのである。
・「帰還不能点」という言葉がある。「引き返し限界点」ともいう。
そこを踏み越えると戻れなくなり、
取り返しのつかない結果に陥るという一線のことだ。