久し振りに天気が回復した今日は、真夏のような蒸し暑さとなりました。
さて、『ドキュメント 金融庁vs.地銀~生き残る銀行はどこか』
本書を読んで、金融庁が金融界に対し、
次のような問題意識を持っていることが理解できました。
(本書のカバーにその要点が書かれていました。)
・地銀は地元経済に貢献できているのか。
・このままでは顧客から見捨てられ、経営が行き詰まるのではないか。
・金融機関は顧客の資産を増やすために、全力を尽くしているのか、
日本経済全体のための役割がもっとあるのではないか。
この問題意識は、森信親・金融庁長官が2017年1月に
読売新聞の単独インタビューに応じた際の、
次のような発言に端的に現れていると思いました。
『銀行には、企業の財務の健全性だけでなく、事業もよく見てほしい。
財務が脆弱でも事業に見どころがあれば
改善を支援することで立ち直れるのではないか。
(資産や債務などの)財務は過去のものであり、事業には将来がある。
財務と事業の両方で見た方が確実な融資ができるはずだ。』
『地方では、非上場企業が多く、コーポレートガバナンス(企業統治)で
貸手である地方銀行の役割は大きい。銀行は企業と日頃から対話して、
時代の流れに対応した必要な事業の再構築を支援してほしい。』
う~む、なるほど……。
その昔、「金融機関は貸手企業に、「お金」だけでなく「時間」を貸している。」
といった趣旨の言葉を聞いたことがあります。
「特に、ベンチャー企業は、長い目でその成長を見守らなければならない。」
という意味ではないかと、私は勝手に理解しています。
ところで、今日の日経新聞「四国版」には、次のような記事が掲載されていました。
『伊予、百十四、阿波、四国の地銀4行は30日、
独自の投資信託の申し込みを7月3日から始めると発表した。
四国企業の株式や地域創生に貢献する企業の株式を重点的に組み入れる。
4行の包括提携「四国アライアンス」の一環として、
企業の支援と顧客の資産形成後押しにつなげる。』
本書を読んだ後なので、このような地元銀行の動きも、
少しは理解できるような気がしました。これも「顧客目線」の動きなのですね…。

ドキュメント 金融庁vs.地銀 生き残る銀行はどこか (光文社新書)
- 作者: 読売新聞東京本社経済部
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/05/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る