国立国会図書館発刊「調査と情報」の
「コロナショックと財政・金融政策」というタイトルのレポートを読みました。
レポートでは、質問を「小見出し」にして、「コロナショックの概要」を解説していました。
具体的には、次のような内容で‥‥。
「3 当面の有効な政策対応は何か?」
・従来の経済危機が、主に需要面のショックから生じ、
政策対応においても総需要管理政策による景気刺激が重要な役割を担ってきたのに対して、
コロナショックの場合は、感染拡大防止策による生産活動の停滞(供給ショック)と
消費・投資の停滞(需要ショック)が同時に生じ、
宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業等は、
「売上蒸発」といわれるほどの突然の収入減(所得ショック)に見舞われている。
感染拡大が続く状況では、公衆衛生政策を優先せざるを得ず、
総需要管理政策は適切な政策対応とならない。
一方で、経営悪化に苦しむ企業への資金繰り支援、
雇用不安に直面する労働者への所得補償等の緊急対応が必要とされており、
各国の政策対応も、おおむねこの線に沿って実施されている。
「4 危機後の経済の姿はどうなるのか?」
・コロナショックを受けて、直近の物価予想は大きく下振れしており、
現状では需要ショックが支配的であることが示唆される。
今次のパンデミックでは、供給能力を規定する労働力や資本ストックが
大きく毀損するとは想定されておらず、感染が終息することで需要が急回復すれば、
経済への影響は一過性のショックに終わる可能性がある。
しかし、感染が終息しても、経済システムがもつ複雑な相互作用により、回復はさほど容易ではなく、
ショックが長期にわたる経済的影響を残す可能性も指摘される。
大規模な負の需要ショックが、研究開発投資や人的投資の減少を通じて
潜在成長率(自然利子率)を低下させ、
供給面にも長期的な悪影響を及ぼす(履歴効果(hysteresis effect))との議論が知られている。
また、教育や雇用への影響を通じて、特定の世代の所得を恒常的に低下させるおそれもある。
はぃ‥‥。
ちまたに溢れる情報を、分かりやすく整理整頓された内容は、
自分の立ち位置を再確認するのに役立ちます。
そして、今回のレポートでは、「履歴効果」という用語を初めて知りました。
さっそく、ネットで調べると、「ヒステリシスともいう。経済の状態が変化して元の状態に戻ったとき,
必ずしもすべてが元どおりにはならないことを意味する。」という解説がありました。
またひとつ勉強になりました‥‥。