日経新聞の文化欄で連載が続いていた「三島由紀夫50年後の問い」は、第五回目の今日が最終回でした。
最終回は、文芸評論家の安藤礼二さんで、「日本の近代化、文学で批判~伝統文化の危機、突破試みる」
というタイトルの記事には、次のようなことが書かれていました。
三島は民俗学に対しては反発的共感とでもいうべき両義的な態度をとっていた。
「この世ならぬ前近代的なものを学問によって解き明かそうとしたのが、柳田国男、折口らの民俗学。
しかし、三島は理論で明らかにするのではなく、文学として表現しようとした」
65年に連載が始まった「春の雪」を第1部とする4部作「豊饒(ほうじょう)の海」にも、
前近代的なものに目を向けることで別の日本近代を考えようとした姿勢がにじむ。
「大正から昭和の歴史を輪廻(りんね)転生という形で描いている。
主人公は生まれ変わるたびリセットされてゼロ地点に戻る。
これはアマテラスをまつる伊勢神宮が20年に一度遷宮されることを思い起こさせる」
もちろん三島の「文化防衛論」は政治学者の橋川文三らの批判を受けたし、
そこで示したアイデアが仮に実現したとしてもうまくいったとは考えにくい。
しかし、作家の問いかけは現代も意味を持つと安藤氏は考える。
「日本は政教分離原則をとっていますが、曖昧な部分は多い。
政治参加を試みたオウム真理教は大きな問題を起こした。
三島のように政治と宗教について真摯に考えることが、今こそ求められているのかもしれない」‥‥』
う~む、なるほど‥‥。
五回の連載を読んで感じたのは、やはり三島由紀夫という人の思想やその行動哲学は、
私のような凡人には理解するのがとても難しいということです。
余談ですが、
「三島由紀夫 ふたつの謎」の作者で、社会学者の大澤真幸さんや、
映画「三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実」に出演されていた小説家の平野啓一郎さんにも、
この連載に登壇していただきたかったです。