しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「空っぽ」日本‥‥

三島由紀夫が世を去って今年で50年‥‥。

日経新聞の文化欄では、昨日から「三島由紀夫 50年後の問い」の連載が始まりました。

「三島は今に何を問うのか。」を、作家に深く心を寄せる表現者有識者に聞くシリーズで、

第二回目の今日は、社会学者の宮台真司さんでした。

『「空っぽ」日本 見抜いた目~「不動点」として考えた天皇』というタイトルで、

次のようなことが書かれていました。


『‥‥天皇をあらゆる日本文化の根源ととらえ、

 「文化概念としての天皇」の理念を説いた三島の「文化防衛論」(68年)は、

 論壇に波紋を起こした。

 政治思想史家の橋川文三は、三島の天皇主義は近代国家の論理と整合しない、

 空想的なものであると痛烈に批判した。

 「『天皇』とは単なる言葉でも人格でもなく、現人神としての存在であるということを、

 三島は自分の身をもって示すと答えた。

 そして特異な死を遂げることで、後々にまで残るシンボルとなり、

 後世を生きる人々に参照され続けることに賭けたとも考えられる」

 だが作家が身を賭して問うたものは今の若い世代にどれだけ響いているだろうか。

 反時代的とも受け止められるその思想を考える前に、作家その人を知ることが重要だろう。

 宮台氏はその入り口として、

 今年公開された映画「三島由紀夫VS東大全共闘」(豊島圭介監督)を挙げる。

 自決の1年前、約1000人の左翼学生を相手に

 三島が討論した一部始終を記録したドキュメンタリーだ。

 「イデオロギーは異なっても自分を討議に招いた学生らを三島は意気に感じ、

 言葉を尽くして対話している。こんな愛のある人に教えてもらえたらと思えるだろう」

 宮台氏は「50年前に三島が予言した通りの状況が今の日本にある」とみる。

 「人間は基本的に弱いことを三島はよくわかっていた。

 だから私たちが生きるための不動点を見いだせるように扉を開いてくれた。

 日本が『空っぽ』な限り、三島の問いは有効であり続ける」』


はぃ、私もこのドキュメンタリー映画を観ましたが、

当時の熱気が伝わってきて、とても迫力がある映像だったことを覚えています。

それぞれの思想は違っていても、相手をリスペクトしながら

真摯で、しかも緊迫感のある討論を、今の時代は聴くことができなくなってしまいました‥‥。


日本と日本人は、これからも「空っぽ」であり続けるのかもしれません‥‥。