しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

再び「保守」を考える

日々の生活に追われているうちに、気がつくと二十四節気の「立冬」が過ぎていました。

暦の上ではもう冬です。日も短くなって、仕事の退庁時刻には薄暗く感じるようになりました。

過ぎし日を振り返ると、今年は「秋」という季節がほとんどなかったように思います。


さて、11月11号の週刊東洋経済「Hot Issue」欄に、

枝野幸男立憲民主党代表へのインタビュー記事が掲載されていました。

私が注目したのは、次の2つの質問に対する枝野代表の答です。

Q. 立憲民主党はリベラル派なのでしょうか。

A. 自民党全体主義というなら、立憲民主党はリベラルといっていい。

  しかし私は保守だ。保守の対抗概念である革新でないという意味での保守。

  私こそ保守本流だと思っている。30年前の自民党宏池会のようなもの。

  社会保障に手厚く、寛容である意味で。

Q. 憲法改正についての考えは。

A. 私は護憲派ではない。

   しかし、安倍首相のいう、9条に自衛隊を明記するという案はダメ。

   集団的自衛権を追認するような憲法改正には反対だ。

   首相の衆院解散権を制約するような改正は必要だと思う。


う~む‥‥、ますます分からなくなりました。

先の衆院選で、立憲民主党やその候補者に一票を投じた有権者は、

その党の代表者である枝野さんが、「私は革新ではなく保守本流だ」との主張を知っていて

投票されたのでしょうか‥‥?


また、枝野さんは、「自民党宏池会」のことをおっしゃっていました。

宏池会といえば、故大平正芳元首相が真っ先に思い浮かびますが、

その大平元首相の持論は「楕円の哲学」「楕円の理論」‥‥。

楕円形のように二つの中心を見出し、両者が均衡を保ちつつ緊張した関係にあることを

理想とする考え方です。


ということは、枝野さんの言う「寛容」とは、「合意形成」を目指す政治ということで、

そのことが、すなわち「保守」という理解でいいのかしら‥‥?

自民党」=「保守」、「立憲民主党」=「リベラル」という単純な構図でないことだけは、

最低限、理解できたように思います。

消費税10%の先

一昨日のこの日記で、「全世代型の社会保障」についての感想を書きました。

このことに関連して、11月4日号の週刊東洋経済「経済を見る眼」に掲載された

早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェローの執筆による

『消費税10%の先を議論しよう』というコラムが、頭の中を整理するうえでとても勉強になりました。

その勉強になった記述とは、次のような内容でした。


『 ~(略)~ 小泉進次郎氏らが従来訴えていた

 「これまで高齢者福祉に偏ってきた日本の社会保障を全世代型に変えていく」という主張は正論である。

 高齢者福祉はすでに現実になった超高齢社会への適応として不可避だが、

 長い目で見て人口減少そのものを食い止めていくには、子育て世代への支援が不可欠だからだ。

 だが、消費増税による税収の使い道だけを議論するのではあまりにも無責任である。

 もともと、高齢者福祉中心の現行社会保障制度を維持するだけでも

 消費税10%では明らかに不十分だった(経済学者・エコノミストの相場観では20%以上が必要)。

 マクロ経済スライドの導入で公的年金の持続可能性は高まったが、

 このままでは低年金世帯の収入は生活保護水準を下回ってしまう。

 数年後に団塊世代後期高齢者(75歳以上)になることに備えるには、

 待遇改善を進めて介護職員を増やすことが急務となる。

 そこに子育て世代への支援を加えるなら、

 消費税10%はまだ入り口にすぎない(だからこそ国民の納得感が必要なのだ)。

 もちろん、医療分野ではICTの活用などを含めて効率化の余地は極めて大きい。

 介護については、混合介護を通じたサービス産業化の推進を期待できる。

 また教育費の支援も、幼児教育、社会人教育の強化や給付型奨学金の拡充など

 真に効果あるものに絞るべきだ。

 それでも全世代型の社会保障制度を展望するなら、10%から先の議論を直ちに始める必要がある。』


う~む、なるほど‥‥。

やはり、「全世代型の社会保障」を実現するためには、国民の痛みを伴う更なる改革が必要なのですね。

コラムで早川さんが指摘されていたように、

『全世代型社会保障が目指すこの国の将来像と、

 そのための費用負担のあり方に関する真剣な議論が望まれる。』‥‥このことに尽きるのですね。

大変よく分かりました。ただし、実現できるかどうかは別問題なのが悲しい現実だけれど‥‥(苦笑)。

二言を弄する

昨日6日の産経新聞「正論」に、雪斎先生こと、櫻田淳東洋学園大学教授が、

『日米同盟の真贋が問われる「真実の瞬間」は、確かに近づいている』

というタイトルの論評を寄稿されていました。

この論評のなかで特筆すべきは、「安保法制評価」に関しての記述でした。


雪斎先生は、先日の衆院選挙の結果、

冷戦期の日本政治を特色付けた「55年体制」下の自民党「1党優位」の様相が復活し、

定着しようとしているかのようであり、「55年体制」下の日本政治の様相は、

「傲岸な一人横綱」と「稽古を怠る平幕」の相撲に例えられるものであったけれども、

その様相は平成の御代も末に至って鮮明に再現されようとしているとして、

次のように述べられていました。


北朝鮮情勢の緊迫が語られる中、「稽古を怠る野党」の姿を象徴するのが、

 この度の選挙の焦点であった立憲民主、希望両党における安保法制評価である。

 立憲民主党はその躍進が語られるかもしれない。

 ただし、立憲民主党が獲得したのは55議席であり、

 これに共産、社民両党を併せた「日本左派連合」の獲得議席は70に満たない水準に終わった。

 「日本左派連合」が総議席の15%を占めるにすぎない勢力にまで零落した

 ということの意味は重要である。

 枝野幸男立憲民主党代表は「安保法制を前提とした9条改憲には反対」と語っているが、

 立憲民主党が既に「泡沫(ほうまつ)政党」と化しつつある共産、社民両党と

 轡(くつわ)を並べる限り、その党勢は尻すぼみであろう。
 
 次に、希望の党に至っては選挙中には安保法制容認を踏み絵としたにもかかわらず、

 態度を変える議員が続出している。

 安保法制評価のような安全保障案件で二言を弄するような政治家は、

 その「信頼性」において最低の部類に属する。希望の党の失速も当然と評すべきか。』


この記述のなかで、『安保法制評価のような安全保障案件で二言を弄するような政治家は、

その「信頼性」において最低の部類に属する。』という個所は、

まことにもってそのとおりだと思います。

このような全く信頼できない政治家とは、いったい誰を指すのでしょう‥‥?

こういう方々は、きっと政治家でなく「政治屋」と呼ぶのでしょうね。


そこで、「社会の公器」である報道機関に是非お願いがあるのですが、

「二言を弄した」「最低の部類に属する」政治家でなく「政治屋」の

国政における今後の言動を、私たち国民に広く知らせていただきたいと思います。

「タダより高いものはない」という真理

今日6日の日経新聞「核心」欄に掲載された、大林尚・上級論説委員の執筆による

『タダより高いものはない~もつか、全世代の社会保障』というタイトルの論評を読んで、

少し考えるところがありました。

この記事の前半部分を私なりに要約すると、概ね次のような内容になります。


『1960年代後半、飛鳥田一雄横浜市長美濃部亮吉東京都知事など

 革新系の首長が推進した高齢層の医療費無料化等の人気取り政策を横取りするように

 田中角栄首相が70歳以上の医療費を全国一律に無料にする改正老人福祉法を国会で成立させ、

 併せて5万円年金の実現を閣議決定したのが1973年(昭和48年)。

 以来、この年が「福祉元年」と呼ばれるようになる。


 ところが、耳に心地よいその響きとは裏腹に、医療と財政の立て直しに挑んだその後の政権は、

 例外なくこの福祉元年の亡霊に苦しむことになり、

 75歳以上の後期高齢者に原則1割の窓口負担を求める制度の実施にこぎ着けたのが

 小泉純一郎首相時代の2008年。じつに「福祉36年」だった。

 同時に実施するはずだった70代前半の2割負担への引き上げは、

 小泉後の政権が毎年度2千億円規模の補正予算を組み、最近まで1割に据え置き、

 2割への引き上げは、今なお途上にある。

 こうしてみると、タダのツケがいかに大きいか、

 そしてタダの受益層に少しばかりの有料化を納得してもらうのに

 どれほどの政治的エネルギーを費やすのかがわかる。』


う~む、なるほど‥‥。

私はてっきり70代前半の医療費自己負担は、全員が2割だと思っていました。

しかし、調べてみると、26年4月以降70歳となる方が対象だったのですね‥‥。

そして、『今回の衆院選で安倍首相は、教育・子育ての無償化を公約し、勝利。

その対象は0~2歳の保育(低所得世帯)、3~5歳の保育園・幼稚園、高等教育(同)。

返さなくてもよい奨学金制度を充実させるとも力説し、

高齢層には手厚いが若者と子供に冷たい福祉元年の当然の帰結を、

あらゆる世代に報いるべく変革すると訴えた。「全世代型の社会保障」への転換である。』

‥‥記事には、このように書かれていました。


再び、う~む‥‥。

同じ記事のなかで、財務省出身の田中秀明・明治大教授が

『教育と保育にかける公費を増やす方向に日本がカジを切るなら、

増税したとしても高齢者向けの年金・医療費を抑えるべきだとの結論におのずとなる。』

とおっしゃっていましたが、確かにそのとおりだと思います。


『果たして、全世代型の社会保障は持続可能なのか?』という問い掛けに対しては、

記事で指摘されているように、「タダより高いものはない」という格言を、

私たち国民は肝に銘じておく必要がありそうです。

一度実行に移した無料化政策を再び元に戻すことが、いかに大変な労力を必要とするかは、

この私でも容易に想像がつきます。どの世代も痛みを伴わない改革はあり得ないと思います。

秋晴れの日の雑感

今日はお昼過ぎに、古本を宅配業者の方に引き取ってもらいました。

段ボール4箱が無くなって部屋が少し広くなり、ちょっとすっきりした気持ちと、

そこはかとない淋しさが同居しているような感覚です。


そしてこの三連休は、風が少し肌寒かったものの、秋晴れの良い天気となりました。

おかげで、久し振りにシーツを洗って、布団を干すことができました。

こうして日常の家事を淡々とこなしているうちに、休みはあっという間に過ぎ去ってしまいます。


さて、スポーツの秋です。

プロ野球は、ソフトバンク日本シリーズ優勝で今シーズンが終了したところですが、

私の好きなラグビーはこれからが本番となります。

そのラグビー‥‥、昨日4日にはテストマッチが行われ、

私は残念ながら今回はテレビ観戦できませんでしたが、

世界ランキング11位の日本は、同3位のオーストラリアに30-63で敗れたようです。



このままだと、早大帝京大に勝てる日が、とても遠い日に感じるように、

2019年ラグビーW杯での目指すベスト8も、とても難しいように感じます。

どちらも「とても」です‥‥(苦笑)。