岡本全勝・内閣官房参与がご自身のHPで、
朝日新聞「Globe」の特集記事「FRBと日本銀行」について、
読み応えがある記事だと紹介されていたので、私もさっそくデジタル版で読んでみました。
そのお言葉のとおり、内容がとても充実していて、
日銀や金融政策についての基礎的な知識を学ぶことができました。
以下、リフレ派や反リフレ派の対立などについて解説した個所を、
この日記に「自己啓発メモ」として残しておきたいと思います。
『「リフレ派」対「反リフレ派」。
過去20年以上、金融政策を巡る議論は、この二つの派の対立とらえられてきた。
そもそも、リフレ派とは‥‥。
その定義はあいまいで使用法もさまざまだが、ざっくり整理を試みよう。
リフレとは、リフレーション(通貨再膨張)の略語だ。
リフレ派は、物価が下落する状態であるデフレーション(デフレ)が
経済全体を収縮させる元凶だとして強く問題視する。
日銀が大量の国債を購入するなどして市場に供給する通貨の量を大幅に増やしたり、
物価上昇(インフレーション)の目標を明確に設定するなどして人々の「期待」に働きかけ、
デフレからインフレに「転換」させることが重要だと主張するグループが、リフレ派と呼ばれてきた。
2013年、黒田が日銀総裁に就任した直後、
日銀が長期国債を年間50兆円買い増す「異次元緩和」に踏み切ったとき、リフレ派は喝采した。
その後、景気拡大は5年続き、失業率も歴史的に低い水準まで低下していることについて、
リフレ派は、黒田緩和の大きな成果だとみている。
これに対し、反リフレ派の多くは、現在の日本経済の景気回復は、世界経済の回復が主因であり、
失業率の低下も急速な労働人口減少によるところが大きいと考えている。
また、日本経済の成長率低下は人口減少などによる潜在成長率低下によるものであり、
物価下落が原因ではないという立場だ。
経済を成長させるには、規制改革などの構造改革で生産性を上げるという根治が重要であって、
インフレ目標に無理に近づけようと、日銀が長期国債などを大量購入することは、
財政規律を緩ませるといった弊害のほうが大きいとみる。
今の日本の景気が良くても、この路線を続ければ、中長期的には、国債価格や円の急落、
ハイパーインフレ、金融システムの混乱などがやってくることを懸念する。』
なお、リフレ派と呼ばれる人の中にも、「財政出動に積極的な立場」と、
「財政出動に慎重な立場」の二つに分かれている印象があることについて、
若田部昌澄・早大教授は、次のように述べられていました。
『リフレ派の核となる定義は変わっていない。
日本経済で長く続いてきたデフレに対する問題意識があり、
デフレからの脱却を進めるべきだという目標がまずある。
その目標に対する手段として、インフレ目標を伴う金融緩和は必要条件だと考えている。
この二つの条件を満たすのがリフレ派だろう。
この2点にプラスされる財政政策への態度などは、核となる定義には含まれていない。
財政政策以外の他の政策、例えば成長政策や再分配政策については、
リフレ派の中でも論者によって意見は色々ある。』
こうした定義などを踏まえたうえで、山脇岳志・編集委員は、次のように述べられていました。
『日本銀行による積極緩和策を唱える「リフレ派」と、
超金融緩和や財政との一体化のリスクを指摘する「反リフレ派」の20年以上の論争。
知人からは、「どちらを信じれば?」との迷いをよく聞く。迷って当然だと思う。
どちらの主張が正しかったのかは、いずれ歴史が審判を下すだろう。
ただ、どちらを信じるかで、貯金や投資、借金をして家を買うべきかといった
私たちの「今の行動」は変わってくる。』
はて‥‥、私はいったいどちらを信じて行動すればよいのでしょう??
ところで、すでにお気づきのこととおもいますが、
この特集記事でも山脇岳志・編集委員の金融政策に関する専門的な解説がありました。
昨日のこの日記で紹介したコラムでご本人は、
「何の専門家でもない自分‥‥。時折、苦い思いがこみ上げる。」とおっしゃっていましたが、
今回の特集記事を読むと、それが謙遜だったことがよく分かります。
私の場合、これから専門性を磨くのはちょっと能力的に難しいと自覚していますが、
知的好奇心だけはいつまでも持ち続けたいと思っています。