『決定版日本のいちばん長い日』(半藤一利著:文春文庫)を読了しました。
私の手元にある
『もういちど読む山川日本近代史』(鳥海靖著:山川出版社)の終戦日前後の記述は、
次のような内容です。
『1945年(昭和20年)8月10日、8月14日の再度にわたって御前会議が開かれ、
鈴木貫太郎首相の要請により昭和天皇が裁断を下すという異例のかたちで、
ポツダム宣言の受諾が決定された。
日本のポツダム宣言受諾の最終的決定は、1945年(昭和20年)8月14日夜、
中立国のスイス政府を通じて連合国側に通告され、
翌8月15日正午、昭和天皇自身のラジオ放送により、国民に明らかにされた。』
このように、8月15日のことは、教科書にはほんの数行しか書かれていません。
ですから、私の知識も、これ以上でもこれ以下でもありませんでした。
そして、半藤さんの本を読んで初めて、
8月14日から8月15日にかけて、
日本の運命を左右する緊迫したドラマが展開されていたことを知りました。
折しも、今日7日の日経新聞「風見鶏」は、
「美化でも、自虐でもなく」というタイトルでしたが、次のような文章がありました。
『では、日本はどうだろう。なぜ、あんな戦争をしたのか。
国は「軍部の暴走」で片づけてしまい、何を、どう誤ったのか、
自ら総括しないままやってきた。
そんな政府の姿は教育の現場にも投影している。
「高校などの歴史授業では
古代以来の事件や年号などの知識をたくさん詰め込むので、
日本が戦争した原因まで教える余裕がない。
教科書も淡々と事実経過を書くだけで、
設問によって、生徒に考えさせる工夫が乏しい」。
歴史教育に詳しい油井大三郎・東京女子大教授(68)は語る。』
さらに、このコラムの最後には、次のように書かれていました。
『従軍慰安婦問題の論争がにぎやかだ。
大切な問題だが、これも歴史の一断面でしかない。
過去を美化せず、自虐もしない。
冷徹に、現代史の全体像に光を当てる努力を、
まず、一人ひとりが始めるときだ。』
半藤さんのこの本は、「現代史の全体像に光を当てる」一助になる本だと思います。

- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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