しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

三十一文字の宇宙

今日5日の朝日新聞天声人語」の次の文章を読んで、

明日7月6日が「サラダ記念日」であることを知りました。

 

『あす6日は何の記念日かと調べると「ワクチンの日」「公認会計士の日」。

 なかでも有名なのは「サラダ記念日」だろう。

 〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉。

 俵万智さんの『サラダ記念日』が刊行30周年を迎えた。

  ~ (略) ~

 歌集は280万部売れた。

 〈買い物に出かけるように「それじゃあ」と母を残してきた福井駅

 〈万智ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて神奈川県立橋本高校〉。

 口語体を駆使し、上京の寂しさも教室のざわめきも自在に詠んだ。24歳だった』

 

う~む、懐かしい……。

30年前といえば、1987年(昭和62年)。

私は31歳、妻は26歳、そして娘は2歳でした。

歌集280万部のうちの1部は、今も私は大切に所有しています。

(私が持っているのは1897年8月1日発行の59版です。)

 

 先ほどのコラムによると、 俵さんは、震災後に仙台市から石垣島へ移り、

息子さんの中学進学にあわせて宮崎市に引っ越され、

作歌も変わらずに続けられていて、

「三十一(みそひと)文字の宇宙が広がり続けている」とのことでした。

 

今年は正岡子規夏目漱石の生誕150年で、

てっきり「俳句の年」だと思っていましたが、

このコラムを読んで、俵さんの短歌に久しぶりに触れてみたい気持ちになり、

書棚から「サラダ記念日」を取り出してページをめくっていたところ、

本の「あとがき」で、俵さんが次のように述べられていました。

 

『料理が好きで海が好きで手紙が好き。

 人いちばいホームシックのくせに、東京でひとり暮らし。

 おっちょこちょいで泣き虫で、なんにでもびっくりしてしまう。

 なんてことない二十四歳。なんてことない俵万智

 なんてことない毎日のなかから、一首でもいい歌をつくっていきたい。

 それはすなわち、一所懸命生きていきたいということだ。

 生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。』

 

30年経っても、そのお言葉は、全く色褪せていないような気がします…。

ちなみに、

〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉の次の歌は、

トーストの焼きあがりよくわが部屋の空気ようよう夏になりゆく〉でした。

サラダ記念日

サラダ記念日