香港におけるデモ隊による破壊行為は、かつての日本における学生運動を想起させるものがあり、
果たして大衆の支持が本当に得られるのか、その「自殺行為」ともいえる解決手法等について、
私なりに疑問や違和感を抱いてきましたが、今日の日経新聞「オピニオン」欄に掲載された、
『香港デモに欠けるもの』というタイトルの記事を読んで、それらが幾分か氷解することになりました。
『抗議活動については少し考える必要がある。
リーダーなしで続いてきたが、暴力によらない直接行動を呼び掛けるリーダーの存在が欠かせない。
参加者の要求はもっともで理にかなっている。
本質的に1997年の中国返還時に約束されたことを求めているだけだ。
米国の公民権運動を率いたマーチン・ルーサー・キング牧師や
インド独立の父マハトマ・ガンジーのように、非暴力運動の必要性を明確に説くリーダーが現れれば、
過激派とは一線を画せる。
中国本土出身者への嫌悪や偏見をなくすことも有益だろう。
香港の人口740万人のうち100万人は977年以降に移住してきた本土出身者だ。
彼らは一党独裁制を離れ比較的自由な香港を選んだわけで、
少なくともその一部は抗議活動を支持するはずだ。
ところがデモ参加者の中には大陸から来たとみれば誰でも攻撃し、
中国共産党への怒りをぶつけようとする者がいる。
本土出身者の多くは不当に狙われていると感じている。
本土に住む13億5千万人の中国人の大半にとって、暴力的な抗議活動は無意味で不快なものだ。
香港の高層ビルに「籠の中で生まれた鳥は飛ぶことを病気だと思う」という落書きがあった。
これまで中国共産党と戦って勝った者はいない。
本土の人たちの目には、香港の若者は要求が通る可能性が皆無なのに、
自らの住む場所をただ破壊しているだけのように映る。
だが倫理的に優位な立場に立つリーダーの下、暴力を排して粘り強く抗議し続ければ
本土の中国人の心をつかむ可能性ははるかに大きくなるだろう。』
う~む、なるほど‥‥。正鵠を得たご指摘だと思います。
ちなみに、この記事の最後には、
『もっとも中国政府がそれより(域内の人民解放軍の駐屯地を攻撃し挑発されることによる軍隊の動員)
恐れていることが一つある。
暴力によらない抗議活動に対し、中国各地で共感や支持が広がることだ。』と書かれていました。
隣国である中国の内政問題とはいえ、グローバルな世界では、決して黙過できない状況だと思います。