今日の日経新聞「マーケットニュース」を読んで、
金融市場において「ブラックスワン」という言葉が使われていることを知りました。
その記事には、次のようなことが書かれていました。
『‥‥昨年5月に聞いた話は予言だったのだろうか。
来日した米有力投資ファンド、カーライル・グループの創業者、
デビッド・ルーベンスタイン氏に質問した。
「いまの金融市場にとって、ブラックスワンは何でしょうか」。
同氏の答えは、中東など世界各地での軍事衝突リスク、
米国や日本の政府債務問題の2つに加えて、もうひとつあった。
「ウイルスによる世界的な疫病の流行(パンデミック)だろう」
ブラックスワンとは「黒い白鳥」。
かつてオーストラリアで黒い白鳥が発見され、白鳥は白だという常識が覆されたことが由来だ。
従来の常識的な経験からは想定のできなかった事象が起き、
それが衝撃となって大きな影響を人々に与えることをいう。
ファンド関係者のナシーム・ニコラス・タレブ氏が著書「ブラック・スワン」で紹介し、
金融市場で広く使われるようになった表現だ。
~ (中略) ~
1万3000年の人類史を記した「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド著)によれば、
天然痘は家畜を飼育したために病原体を増殖させた。
新型肺炎は、武漢市内で食用に売られていた野生動物からの感染が発端とされる。
ただ過去の流行病には特徴がある。
感染者は短期間で亡くならなければ、回復して抗体を持つようになる。
いずれ感染者が減っていき、大流行は収束へ向かうという。
いまの新型肺炎がそれに当たるかどうかの判断は早計だが、
いずれ収束する可能性を見ておく必要がある。
いまの難しさは、その規模と期間が全くみえないことだ。
~ (中略) ~
衝撃が大きく、人々の考え方にも影響するのがブラックスワン。
だとすれば、この先のマネーの大きな方向性をも左右する問題になりうると
みておかなければならないだろう。』
う~む、なるほど‥‥。
確かに、「その規模と期間が全くみえない」という現実は、今回の新型肺炎に限らず、
「人間を最も不安にする要因の一つ」なのではないかと思います。
なお、同じ日の日経新聞の紙面で、ジャーナリストの池上彰さんは、
新型肺炎のニュースをきっかけに、
フランスの作家アルベール・カミュの文学作品「ペスト」を思い出した、と書かれていました。
そして、次のように述べられていました。
『ウイルスは感染が拡大する中で突然変異することがある厄介な存在です。
人間社会は、ウイルスがもたらす「不条理」と闘い続けてきました。
武漢で発生した「不条理」を、一刻も早く収束させようとすると、
今度は国家による「不条理」な対応が問題になるでしょう。
「不条理」は、今後も各地で発生するでしょう。
そのとき社会はどう対応すべきか。そんな課題も投げかけています。』
私たちは今まさに、さまざまな「不条理」に直面しているのですね‥‥。