日経新聞デジタル版を読んで、日銀の若田部昌澄副総裁が昨日5日、
愛媛県松山市で開かれた金融経済懇談会で講演されたことを知りました。
そこで、さっそく日銀のHPを開いて、その講演内容に目を通してみました。
若田部副総裁は「経済成長の重要性」について、次のように分かりやすく述べられていて、
私には大変勉強になりました。
・第1に、経済成長は、平均してみれば、人々の生活水準、栄養状態、衛生環境を向上させます。
GDPから、賃金や利子や配当といった所得が払われます。
GDPが伸びないと、人々の所得も伸びません。
なお、GDPの問題点は数多く指摘されておりますが、
それに代わる指標がなかなか見当たらないのも実情です。
・第2に、経済成長は雇用をもたらします。
経済学では長らく、オークンの法則と呼ばれる経験則が知られています。
これは、経済成長率と失業率(の変化)の間には、
負の相関関係を見出すことができるというものです。
つまり、経済成長率が高くなると、失業率は低下します。現代の日本でもこの関係が成立しています。
失業が、経済的のみならず、様々な人的・社会的コストを社会にもたらすことも考慮しますと、
経済成長によって雇用を維持することは望ましいということになります。
・第3に、成長は様々な政府サービスの維持を可能にします。
国防・警察・司法・社会保障・医療サービス・社会的インフラ・基礎教育・基礎科学研究といった
公共財の提供には財源が必要であり、その財源は経済の規模に依存します。
もちろん、成長には様々な課題があります。環境汚染、気候変動が世界的な課題となっています。
しかし、現在排出している二酸化炭素の量を減らすにも、イノベーションが必要であり、
それには一定の研究開発支出が必要になります。
成長の課題を考えるためにも、成長のもたらす果実と比較することが重要です。
なお、講演の最後では、愛媛県経済のことにも触れられていて、
私の今の仕事に関連が深い農林水産業については、次のように述べられていました。
・‥このほか、当県での生産量が全国1位の柑橘農業では、
西日本豪雨被害からの復興に向けた取り組みを進める中、
「愛媛南予の柑橘農業システム」が日本農業遺産に認定されました。
また、当県が全国に誇る高級柑橘において、新たに「紅プリンセス」が開発され、
今後、本格生産が期待されています。
・さらに、海面養殖業漁業産出額が全国1位の水産業や、水稲農業などでも、
当県オリジナルブランド米「ひめの凜」が開発されるなど、
県内一次産業は高付加価値化に向けた取り組みを進めています。
「ひめの凜」の開発には、県農林水産研究所の16 年に及ぶ努力があったと伺っております。
はぃ‥、愛媛県のPRをしていただき、ありがとうございます。
この若田部副総裁の講演録のように、経済・金融学の知識を得たり、
最近の金融経済情勢を知るうえで、日銀のHPは大変勉強になります。
関心のある方は、一度目を通されることをお勧めします。