今月5日付けの「溜池通信 Vol.709」を読みました。
今回の特集記事は、「2021年世界経済への楽観と悲観」というテーマでした。
結論として、「かんべえ」さんは、このところの「世界経済の楽観論」には懐疑的で、
次のようなことを述べられていました。
『‥‥それでも筆者は、このオプチミズムには賛同したくないと思っている。
普通の景気回復局面においては、良い部分から悪い部分へ伝播が広がるものである。
ところがコロナ下の世界経済は典型的な「K 字型回復」で、
製造業が良くなっても接触を伴うサービス業は良くならない。
移動を制限しているために、景気のいい地域から悪い地域への広がりも欠ける。
そして株式市場の活況が、実体経済を潤しているとも思われない。
景気回復は社会の「分断」を深めるばかりで、
「統合」からはむしろ遠ざかっているのではないか。
そのメカニズムが変わらない限り、ウイズ・コロナの世界経済を楽観することは、
なかなかに難しいのである。』
ところが、「かんべえ」さんのご心配をよそに、
昨日の東京株式市場で、日経平均株価は1990年8月3日以来
30年6カ月ぶりに2万9000円の大台を回復し、
終値は前週末比609円31銭高の2万9388円50銭となりました。
今日9日の株価は、昨日よりもさらに上昇しています。
金融やマーケットに素人の私には、この株高は、
コロナ禍の「実体経済」とはかけ離れた「バブル」ではないかと思ってしまいます。
そして、この特集記事よりも面白かったのは、<今週の”The Economist”誌から>です。
“Suga slumps” 「スランプの菅首相」と題した「抄訳」には、次のようなことが書かれていました。
『‥‥菅氏の個性も問題を難しくしている。
記者相手の官房長官時代には、切り口上で喧嘩腰の答弁スタイルは役に立った。
しかし首相になってからも流儀は変わらず、
臨時国会では113回も「答弁を差し控える」と述べた。
「自助」と「自力」を語りたがることも、このコロナ下においては、
「今は新自由主義の改革時代じゃない」との反発がある。
また菅氏は政治目標を語り切れていない。
前任者の安倍晋三には「鳥の眼」があったが、菅氏は「蟻の眼」だ、と歳川隆雄氏は手厳しい。
「ビジョンのない No2 タイプで、国家指導者の器ではない」』
う~む、なるほど‥‥。「ビジョンのない No2 タイプ」ですか‥‥。
外国の配信記事とは思えない、なかなか鋭い、しかも的を射たご指摘でした‥。