しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

悩ましい雨

また今日も雨でした‥‥。

そして、今日の日経新聞一面コラム「春秋」は、その連続して降り続く雨に関しての、

次のようなコラムでした。その全文を引用させていただきます。


『「破雲雨(はうんう)」という言葉がある。正式な気象用語ではない。

 1889年8月18日から19日にかけて、紀伊半島は台風による豪雨に見舞われた。

 被災地に残る記録は、「海上から侵入した黒い雲」が山に遮られて降らせた大量の雨について、

 「"破雲雨"なり」と呼んでいる。

 気象解説者の故宮沢清治さんによると、もとは香港の気象学者が使い、

 「まさに天や雲が破れて降る豪雨のこと」を指すそうだ。

 バケツをひっくり返す程度の比喩では足りない雨の激しさが目に浮かぶ。

 この時は和歌山県内だけで1200人超が死亡。

 奈良県十津川村では家や田畑を失った多くの村民が北海道に移住した。

 いまも、日本の空に破れた黒雲が居座っている。先週からの大雨で、各地で記録的な降水量を観測。

 あちこちの河川があふれ、長野県では母子3人が土石流の犠牲になった。

 静岡県熱海市の災禍は1カ月半前のことである。

 「経験したことのないような大雨」が続く現実に、備えの大切さと難しさをあらためてかみしめる。

 世界有数の多雨地域ゆえ、日本語は雨を表す表現が豊かだ。

 その一つが「すすき梅雨」。夏の終わりから秋にかけて、秋雨前線がもたらす長雨のことだ。

 こちらは破雲雨と違って語感がやわらかく、なんともいえぬ趣がある。

 天の都合もあるだろうが、しっとりすすきの穂波を湿らせるくらいの方が、人間にはありがたい。』


う~む、なるほど‥‥。「破雲雨」ですか‥。

こちらでは、豪雨とまではいかないものの、天や雲が綻(ほころ)びたかのような、連日の雨続きです。

このコラムを読んで、『雨のことば辞典』(倉嶋厚原田稔編著:講談社学術文庫)を開いてみると、

「破雲雨」には、次のような解説がありました。


『豪雨をいう。宮沢清治「白い雨と山崩れ」に「和歌山県日高郡日誌には、「海上から侵入した黒い雲が

 奈良県吉野郡にそびゆる四千尺の釈迦ケ岳に遮られ、直行突進することは能わず、

 縦横顚狂噴冩(てんきょうふんしゃ)して降らせたる豪雨で〝破雲雨〟なり」とある。

 破雲雨とは気象用語ではない。明治20年ごろに香港の気象学者が現地の大雨のときに用いたことばで、

 まさに天や雲が破れて降る豪雨のこと」とある。‥‥』


なお、さきほどの「雨のことば辞典」には、「返り梅雨」ということばもありました。

曰く、『梅雨がいったん明けてから、また降り続く雨。「戻り梅雨」「残り梅雨」ともいう‥‥』

う~む‥‥。「返り梅雨」と呼ぶには遅すぎるように思うし、

かといって、「秋霖(しゅうりん)」、「秋雨前線」と呼ぶには早すぎるように思うし‥‥。

なんとも「悩ましい雨」です。