しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「自由」と「出世」

昨日の続きです‥。


7月26日(水)の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、網野喜彦さんの

「「自由」は‥‥元来は専恣(せんし)横暴な振る舞いをするという語義で、

 専(もっぱ)らマイナスの価値を示す言葉だった。」という「ことば」で、

いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『「自由狼藉(ろうぜき)」という表現もあるように、

 「自由」は元々、勝手気ままな様(さま)を意味した。

 何にも囚(とら)われないというプラスの意味に近いのはむしろ、幾重もの世俗の関係を

 すべて断ち切ったという意味での「無縁」だったと日本中世史家は言う。

 現代の「自由」の葛藤を理解するにはこうした語法の知識も必要だと。

 「歴史を考えるヒント」から。』


次に、7月27日(木)は、阿部謹也さんの

「信望を高める手段は、贈与というか、要するに、自分が得たものをどんどん配っていくことなんです。」

という「ことば」で、これまた鷲田清一さんの、次のような解説がありました。


『近代以前の西洋社会では、「出世」は地位が上がることでも富裕になることでもなく、

 人びとのあいだで信望が高まることを意味した。

 それも物に限らず、行為や会話、知識において相手に与えるものが多いことだったと、西洋中世史家は言う。

 そういえば、「リベラル」の第一義も気前のよさ。網野喜彦との「対談 中世の再発見」から。』


う~む、なるほど‥‥。「自由」と「出世」ですか‥。

「自由」は元々、勝手気ままな様を意味し、「出世」は人びとのあいだで信望が高まることを意味した。

いずれも、今とは違う語法があったのですね。大変勉強になりました。


追記

今日の夕刻、玄関先のシマトネリコから、ツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきました。

季節は確実に変わりつつあります‥‥。