6月13日(木)の日経新聞「経済教室」に、
山口広秀・日興リサーチセンター理事長と吉川洋・東京大学名誉教授が、
「日本経済復活の条件~人口より技術革新、将来左右」というタイトルの論評を寄稿されていました。
国内総生産(GDP)は、25年にはインドにも抜かれ、日本経済は世界5位となる見通しで、
日本経済の凋落(ちょうらく)が続いています。
さらに、私たちの生活水準に密接な関係を持つ1人あたりGDPの順位は、
00年には名目ベースでルクセンブルクに次ぎ世界2位だったのが、21年には28位まで転落。
購買力平価ベースでは世界38位で、アジアでもシンガポール(2位)、台湾(12位)、
韓国(30位)に遠く及ばない、そういう立ち位置にあるようです。
こうした事実を踏まえた上で、記事には次のようなことが書かれていました。
『1人あたりGDPの水準を決めるのは、人口や人口の変化率ではない。
労働者一人ひとりにどれだけの資本ストックが装備されているかを表す
資本・労働比率の高低は、工事現場でクレーンやブルドーザーを使い働いているか、
それとも1人1本のシャベルやツルハシで働いているかの違いに相当する。
全要素生産性の上昇は、ハード・ソフト両面を含む広い意味での技術進歩によりもたらされるが、
イノベーション(技術革新)と言い換えてもよい。
資本ストックの増強も多くの場合、
新しい製品や品質改良、あるいは生産工程における生産性向上を伴うから、
失われた30年といわれる日本経済の停滞はイノベーションの欠如が原因である。‥‥』
はぃ、吉川先生が以前から主張されている内容ですよね‥。
原因は分かっているのに、なぜ日本経済は停滞し続けるのか?
記事の最後には次のように書かれていました。
『人口減少が続くなか、今後のイノベーションの発展については、とかく悲観的な見方が多い。
しかし実際には、ミクロレベルのプロダクトイノベーションを含めた
イノベーションの動きはすでに始まっている。』
「1人1本のシャベルやツルハシ」からの脱却に、希望を託したいと思います‥‥。