しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「共感」が動かすもの

今月7日の日経新聞電子版「経済ウォッチ」に、

『政策より「共感」が動かす物価』という記事が掲載されていました。

 

その記事の冒頭は、

宅配便やツナ缶は値上げ、携帯電話の通信料金と洗剤は値下げというように、

身近なモノやサービスの価格を巡り、

最近は、上昇と下落の情報が交錯しているようで、

「経済の体温計」である物価は、 今どちらに向かい、何に左右されるのか、

という問い掛けで始まっています。

 

そして、記事によると、ヤマト運輸の値上げ方針が 内閣府の消費動向調査にも表れ、

消費者の物価見通しを変える一因になったとのことで、

どうやら、ヤマト運輸の担当者が

不在宅への再配達に苦労している様子が報道されたこともあり、

「利便性の高いサービスを維持するためには値上げもやむなし」

と受け止める人が増えているようです。

 

さらに、山川哲史・バークレイ証券調査部長の

「値上げに対する共感が広がっていき、

2019年10月に予定通り消費税率が引き上げられるのであれば、

家計の物価見通しが上向き、

買い替え需要が増大したり五輪商戦が活発になったりして、物価上昇ペースは速まる」

とのコメントの紹介に続いて、 記事は次のような記述で締めくくられていました。

 

ヤマト運輸が掲げた人手不足→利便性の維持→

 値上げ要請の図式は 他の商品・サービスでも消費者の共感を獲得し、

 各所で賃上げ→消費増の好循環が実現するのか。

 それとも、企業は価格据え置きを重視するのか。

 異次元の金融緩和策だけでは届かなかった

 「良い物価上昇」への道筋を描く試みが動き始めました。』

 

ところで、ヤマト運輸といえば、

我が家でも、私がアマゾン、そして妻が通販の常連客(?)で、

一日に何回も玄関のチャイムが鳴ることがあり、そのほとんどが宅配便です。

暑い日も寒い日も、風の吹く日も雨の降る日も、

確実・丁寧に荷物を届けてくれる宅急便の配達員さん……。

 

「共感」が物価を動かすということを、肌身で感じています。

人の振り見て……

今日8日から、夏の甲子園が始まりました。

愛媛代表の済美高校は、福岡代表の東筑高校に、10対4で勝利しました。

夏の甲子園一回戦で愛媛県のチームが勝ったのは久しぶりのことで、

県民の一人としてとても嬉しく思います。

 

さて、話は変わりますが、昨日7日の日経新聞「核心」は、

原田亮介・論説委員長の執筆による

『就労寿命延びる未来は~65歳以上の働き手生かせ』というタイトルの論評でした。

 

記事によると、

「ライフ・シフト~100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットンら著)では、

2007年生まれの人の半数が何歳まで生き残るか、主要国の予想を紹介していて、

最長は日本で107歳、欧米各国は102~104歳とのことでした。

「いま50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代を過ごすことになり、

このことが仕事や社会のあり方を根本から変える」というのが、

この本で書かれている主張のようです。

 

人生100年時代には、

「勉強の約20年、会社に勤めて約40年、老後の20年」

という 人生80年時代とは違った多様な生き方が前提になることが、

記事を読んで理解できましたが、

そのことよりも、私が興味を持ったのは、

高齢者の働き方に関して、職場に溶け込めない「問題高年齢社員」が、

次のような5つのタイプに分類されていたことです。

 

① 過去の仕事のやり方に固執する「勘違い型」

② 当事者意識に欠け、周囲への文句が多い「評論家型」

③ 仕事は会社が準備すべきだという「会社依存型」

④ 新しい業務知識を学ぼうとしない「現状固執型」

⑤ 再雇用後の賃金に見合う仕事はこの程度と周囲に公言する「割り切り型」

 

う~む、なるほど……。 私の周辺を見渡しても、再就職後に、

この5つのタイプに分類されるOB職員が結構いるような気がします。

では、私はどうなのでしょう……?

この全部に当てはまる「問題高年齢職員」ではないかと自問しています。

 

故事ことわざの

「人の振り見て我が振り直せ」、「人こそ人の鏡」を思い起こした次第です…。

心のモヤモヤ解消と経済学

今日7日は、二十四節気の「立秋」です。

台風5号が過ぎ去った後は、肌に触れる風も涼しさを感じます。

暦どおりに、季節が一気に秋に近づいたような気がしました。

 

さて、今月5日の日経新聞電子版「週末スキルアップ術」に掲載された

柳川範之東京大学経済学部教授の執筆による

『ビジネス人生の心のモヤモヤは「経済学」で解消できる』

というタイトルの記事が とても参考になりました。

 

記事によると、ビジネスパーソンの多くが抱いている閉塞感や挫折感は、

日本経済の停滞に起因している場合が多く、

その解消には経済学の考え方が役立つとのことで、

心のモヤモヤ解消に必要な4つの視点が次ように解説されていました。

 

①別の選択肢を考える

 別のものを選んだら何を得られるか(=選ばないことで何を失うか)

 を浮き彫りにする「機会費用」という考え方を用いると、

 選択肢を広げて考えることの重要性を認識しやすくなる。

②選択肢を残しながら少しずつ進む

 行動を起こす際には、「失敗したら後がない」と、一か八かの勝負に出るのでなく、

 「ほかの選択肢も残しながら、少しずつ進む」のが正解。

 選択肢がある状態は、「オプション価値」といって、

 経済的に価値が大きいとされている。

③「考えること」と「考えても意味がないこと」を分ける

 経済学には「過去にかけた、もう取り返せない労力やコストは考慮すべきでない」

 という「サンクコスト」の考え方がある。

 考慮すべきは、「将来の成功につながるか否か」のみ。

 そう割り切れば、ムダに悩まずに済むはず。

④将来を見通す

 先のことはその都度考えるしかない、というのはもったいない。

 世の中には常に予想外のことが起きる。いざ事が起こったらどうするか。

 普段から心積もりをしていれば、絶望したり思考停止することなく対処できる。

 手帳などに書いて頭を整理し、定期的に見直して修正を加えていくと、

 「こういう可能性に備えて、このスキルを磨いておくべき」といった、

 「今やるべきこと」が見えてくる。

 

最後に、柳川教授は、次のように述べられていました。

『最後にお伝えしたいのは、心がモヤモヤした時こそ、

 「学問」に目を向けてほしいということ。自分が仕事を通じて経験してきたことを、

 自社でも他社でも通用する「武器」にするのに、学問はとても役立ちます。

 経済学、経営学はもちろん、哲学もしかり。

 学問の力を借りて経験を体系立てて整理すると、

 「自分のスキルにどの程度の汎用性があるか」を見極めることができる。

 何より自分の中に大きな自信が生まれ、気持ちにもゆとりが生まれるはずです。』

 

う~む、なるほど……。 学問の力は大きいものがあるのですね。

私も、もっともっと勉強する必要がありそうです。

そして、今度の三連休、

我が家にやって来る予定の社会人2年目の甥っ子に、

この記事のことを伝えたいと思います。

(自分の娘を忘れていました。銀行ウーマンの娘にも伝えることにします。)

たとひ力は乏しくも……

『詩のこころを読む』(茨木のり子著:岩波ジュニア新書)を読了しました。

 

この本の「はじめに」での著者の記述によると、

この本で紹介されている詩は、

「心の底深くに沈み、ふくいくとした香気を保ち、

私を幾重にも豊かにしつづけてくれた詩」ということで、

著者によって選ばれた詩もさることながら、著者の解説が素晴らしかったです。

 

その選ばれた詩の中でも、今の私が一番印象に残ったのは、

河上肇詩集の「老後無事」という詩と著者の解説でした。

(河上肇(1879-1946)は経済学者。

京大教授の席を追われ、戦前の左翼の地下活動、検挙、5年近くの獄中生活、

敗戦の翌年死亡という、波乱に富んだ生涯を送った人。)

 

まず、その詩というのは、

『たとひ力は乏しくも 出し切つたと思ふこゝろの安けさよ。

 捨て果てし身の なほもいのちのあるまゝに、

 飢ゑ来ればすなはち食ひ、渇き来ればすなはち飲み、疲れ去ればすなはち眠る。

 古人いふ無事是れ貴人。

 羨む人は世になくも、われはひとりわれを羨む。』

 

次に、著者の次のような解説がありました。

『この詩は出獄後のものですが、

 学者としての活動もできない孤独でさびしい日々に、

 こういう清澄で張りのある心境をもち続けられたということに溜息が出ます。

 河上肇ほど偉い学者でなくても、どんな職業であっても、

 「たとひ力は乏しくも 出し切ったと思うこゝろの安けさよ」

 このあたりまでは、誰でも行くつもりなら行けるのではないかしら。

 このあたりまではともかく生きてみなくちゃならないのかもしれない、

 そんな大きな励ましすらあたえられます。

 「古人いふ無事是れ貴人。」は、すばらしい一行。』

 

昨日のこの日記のタイトルではありませんが、

「もう少し頑張ってみよう」と、生きる力を与えてくれる詩だと思います。

なお、著者は「いい詩」というのはどういうものか、

本の「はじめに」の冒頭で、次のように述べられていました。

『いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。

 いい詩はまた、生きとし生けるものへの、

 いとおしみの感情をやさしく誘い出してもくれます。

 どこの国でも詩は、その国のことばの花々です。』

 

とにもかくにも素晴らしい本でした。

もう少し若い時にこの本に出合っていたら、

私のその後の人生も、もっと心豊かなものになっていたのではないか、

そんな気持ちにさせてくれる本です。

これからの若い方に、是非一読をお薦めしたい一冊です。

 

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

 

 

もう少し頑張ってみます

台風5号が近づいているようで、

こちらはジトジトとした湿った風が吹いて、

体感温度としては、とんでもない暑さを感じた一日でした。

この暑さで身体には相当な負荷がかかつているはずなのですが、

薬が効いているせいか、おかげさまで、めまいの発作が起きることはありません。

 

さて、今日5日の日経新聞「マネー&インベストメント」欄に、

『働くシニアの年金心得』という記事が掲載されていました。

記事によると、豊かな老後を送るには長く働いて収入を得るのが効果的で、

かつ、公的年金の知識も欠かせないとのことで、

60歳以降も厚生年金に加入して働く主な利点が、次のように整理されていました。

 

・将来リタイア後に受け取る年金額が増える

・亡くなったときに遺族が受け取る遺族厚生年金が増える

・加入期間中に障害を負った場合、障害厚生年金を受け取れる

・払った年金保険料は社会保険料控除の対象になる

・配偶者が60歳未満で第3号ならその保険料負担は生じない

 (働く本人が65歳になるまで)

 

う~む、なるほど……。そういう仕組みなのですか……。

私は、正直なところ、気力・体力ともに、かつてのような自信がなく、

今すぐでもリタイアしたい衝動にかられますが、

自身や家族の将来のことを考えると、安易にリタイアするのは得策ではないようです。

 

そんな弱気な私の、今現在の「心の支え」となっているのが、

スイスの哲学者、カール・ヒルティの、「幸福論」のなかの次のような言葉です。

『ひとの求める休息は、まず第一に、肉体と精神とをまったく働かせず、

 あるいはなるべく怠けることによって得られるのではなく、

 むしろ反対に、心身の適度な、秩序ある活動によってのみ得られるものである。

 人間の本性は働くようにできている。

 だから、それを勝手に変えようとすれば、手ひどく復讐される。』

『ひとを幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功のよろこびである。

 この世の最大の不幸は、仕事を持たず、

 したがって一生の終わりにその成果を見ることのない生活である。』

 

はぃ、分かりました。公的年金のことはともかくとして、

おっしゃるとおりに、もう少し、頑張ってみることにします……。