今月6日付けの「溜池通信」の特集記事は、『2014年の日本経済を考える』でした。
このレポートを読んで、勉強になったことがいくつかありました。
まず、「雇用者数」の統計に関する日米の違いについてです。
米国経済を見る上で一番注目度が高いのは雇用統計で、
特に「非農業部門雇用者増減数」は市場に強い影響力を持っているが、
日本にはこれと同様のデータはなく、あるのは失業率と有効求人倍率だということ。
この理由について、「かんべえ」さんは次のように指摘されています。
『察するに、米国経済は個人消費が主体であるから、
雇用者数が増えたか減ったかが関心事となる。
逆に日本経済はモノづくりが中心なので、製造業を中心に見た方が分かりやすい。
そこで日銀短観や鉱工業生産など、
企業の側から経済を見る習慣が浸透しているのであろう。
日米の経済を比較する際のひとつのコツと言えるかもしれない。』
なるほど。「企業の側から経済を見る習慣」ですか…。
こういう視点で物事を見ることも大切なのですね。
次に勉強になったのは、
日本の雇用者数は、今年8月の季節調整値が5571万人で、
史上最高を更新しているということです。
「かんべえ」さんは、
『人口減少下の日本にあっては、雇用者数は「右肩下がりである」と
勘違いしている人は多いのではないだろうか。』と述べられていますが、
私もどうやら「勘違いしている人」の一人だったみたいです。
そして、『最近、この手のデータが取り上げられるときは、
「雇用者のうち約3分の1が非正規である」式の議論ばかりなので、
総数の増加に気づきにくくなっているのかもしれない。』と指摘されています。
さらに、雇用者数の増加を男女比で見ると、
男性の減少分を女性の増加分が補っているそうで、
『医療・福祉や卸売・小売業など、
女性が多い職種を中心に雇用が伸びている点が今風の現象と言える。』
と説明されています。
そのほか、2013年の雇用者は、2007年のピーク時に比べて、
団塊世代がリタイアした結果、はるかに若返っているという指摘もありました。
「かんべえ」さんのレポートを読むと、毎回のように新しい「気づき」があります。
ただ、自分自身がその気づきによって、
進歩しているかどうかは全く自信がありません。