「底値鍛錬百日」
この耳慣れない言葉が、今日1日の読売新聞「編集手帳」の文章中にありました。
三井物産の元会長の八尋俊邦さんが、
神戸支店の課長時代にゴム相場を読み違えて大損を出して、失意にあるとき、
ある役員が冒頭の言葉をかけてくれたそうです。
「相場と同じように、泥沼のような“底値”の時期が人生にもある。辛抱だ」と。
遠足に使うバスを手配し忘れた大手旅行会社の男性社員に関する事件に、
八尋さん失敗談を絡めたコラムでしたが、とても示唆に富む内容でした。
コラムいわく、
『痛恨の出来事を、祝杯の記憶よりも愉快な思い出にかえる。歳月の魔法である。
下手な小細工をせず、針の筵に耐えていれば、
その人にもいつかは、「おれも昔は大失敗をしてさ……」と
笑い話を語る日が来たかもしれない。』
そして、
『しくじったら、ひたすらに“底値”の季節を生き、
あとは魔法を信じて歳月に身をゆだねよう』と、
これから長い社会人人生を歩むであろう若者を励ましていました。
コラムを読み終わった後、
中島みゆきさんの「時代」を思い出しました。
この歌は、20世紀を代表する名曲だと私は思っています。
『♪そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう』
自分の仕事人生を振り返っても、
顔から火が出るような大失敗を数多くしてきました。
でも、失意のどん底にあっても、本人の知らぬ間に歳月が解決してくれたような…。
そんな気もしています。
竹内コラムニストのご指摘のとおり、歳月は魔法の力を持っているようです。