今日26日の朝日新聞「天声人語」は、
次世代の有人潜水調査船「しんかい12000」に関連しての「深海」、
さらに広い意味での「海」に関する話題でした。
コラムでは、
日本は、排他的経済水域内で水深6千メートルより深い面積が
世界でも有数だということで、
深海底に眠る資源を探り、未知の生物相を解き明かす使者として、
「しんかい12000」への期待は高まる……と書かれていました。
そしてコラムは、海の存在について、
次のようにロマンを誘うような文章で結ばれていました。
『古くから、海は神話と伝説の宝庫だった。
しかし、そのどれもが「実際の海の神秘」の前では色あせるほど、
海は不思議と謎に満ちた存在だという。
次なる調査船が、さらにベールをはがしてくれるだろうか。』
この文章を読んで、天才ニュートンの名言を思い出しました。
『目の前には手も触れられていない真理の大海原が横たわっているが、
私はその浜辺で貝殻を拾い集めているにすぎない。』
(『自助論』サミュエル・スマイルズ著:知的生き方文庫、P52)
引き続き、コラムの中のお言葉を拝借すると、
人間は、星空は仰ぎ見たが、波の下に深く広がる世界を見た者はなく、
大航海時代の16世紀を迎えても、
航海家たちの多くは海の底を「はかり知れない深さ」であると言っていたそうです。
ニュートンではありませんが、
この世の中の「真理」も「海」と同様、「はかり知れない深さ」があることは、
この歳になると、私にも漠然とは理解できます。
ニュートンが「貝殻」なら、
私が一生涯をかけて拾い集めることができるのは、
浜辺にある、たった一粒の「砂」……いや、それ以下なのかもしれません。
- 作者: サミュエルスマイルズ,竹内均
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