二段組で701ページもあった長編のノンフィクション
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(増田俊也著:新潮社)を、
長い時間をかけて読み終えました。
先月21日付けのNIKKEIプラス1「何でもランキング」は、
「アスリートの軌跡 壮大な物語」というタイトルで、10冊の好著が紹介されていましたが、
その第二位が本書であり、次のような専門家の解説を読んで、迷わずにアマゾンで中古品を購入しました。
『「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」。
戦前から戦後の15年間不敗のまま引退した無双(むそう)の柔道家でありながら、
プロ柔道、プロレスへの転身を境に不遇に陥り、力道山との謎多き試合に敗れて以降、
世間より忘れ去られた木村政彦。
その生涯を描いた長編は、伝説の男を「歴史の闇の奥から復権させた」(河野さん)。
競技の分野を越えた壮大な昭和史ともいえる、と山本寿子さんは指摘する。
取材執筆に18年かけ2011年に単行本発刊。
ハングリーな時代の叙述が「とにかく濃厚」(太田千亜美さん)。
著者の過剰な思い入れを指摘する声もあるが、
その純粋な生き方ゆえに「いつの間にか木村の生涯に寄り添ってしまう」と青島さん。
切なくも堂々たる武道家の評伝だ。』
小学生の頃、デストロイヤーと戦う力道山をテレビで観た記憶がありますが、
木村政彦という「武道家」の存在は、本書を読むまで知りませんでした。
専門家の皆さんが書かれているように、その壮大な人生の軌跡に圧倒された次第です。
もう一つ、本書を読んで収穫があったのは、「古流柔術から柔道」への流れを知ることができたことです。
柔道が柔術からスポーツへと「転身」した経緯がよく分かりました。
実は、この本とほぼ同時に、ランキング第一位の
『敗れざる者たち』(沢木耕太郎著:文春文庫)も購入しました。